7-1. 形容詞の種類
形容詞の種類は次の4種類である。
形容詞の種類 | 例 |
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(1) 性質や状態を表す | pretty, kind, beautiful, serious, sick, old, etc. |
(2) 数量や程度を表す | many, much, some, any, no, few, little, etc. |
(3) 数や順序を示す(数詞) | one, two, three, first, second, third, half, etc. |
(4) 固有名詞から派生したもの | Japanese, American, Asiatic(=Asian), Parisian, etc. |
※ ほかに、代名詞が形容詞的に用いられる場合があるが、これらは第6章参照。
7-2. 形容詞の用法
形容詞には、名詞・代名詞の前(後)に直接つけてこれを修飾する方法(限定用法)と、補語として用いる用法(叙述用法)とがある。大部分の形容詞はこの両方の用法を持つが、中にはどちらの用法で使われるかによって、意味が異なったり、いずれか一方の用法しか持たないものもある。
限定用法 | He is an honest boy. |
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叙述用法 | He is honest. I believe him (to be) honest. |
7-2-1. 限定用法の形容詞の位置
限定用法の形容詞は [形容詞→名詞] のように修飾する名詞の前に置くのが原則であるが、次のような場合には名詞のあとに置かれる。
7-2-1-1. 名詞+他の語句に修飾された形容詞+修飾語句
形容詞にさらに他の語句がついて長い修飾語句になる場合。
a problem difficult to solve(解釈が困難な問題) |
a pencil about ten inches long(約10インチの鉛筆) |
7-2-1-2. -thing+形容詞
-thingで終わる語を修飾する時。
There is something strange about him.(彼はどことなく変わっている) |
There is nothing particular.(特別なことは何もない) |
ちなみに、ビートルズのIn My Lifeの歌詞にはsomething newが出て来ます。また、アメリカ盤のビートルズのアルバムにSomething Newというのがありました。
7-2-1-3. 形容詞が名詞のあとにくる慣用的表現
the sum total (総計), Asia Minor (小アジア), Japan Proper (日本本土), God Almighty (全能の神)など。
big green boxesかgreen big boxesか
名前の前に、形容詞をいくつも重ねる場合、だいたい冠詞→数量→性質の順序になる。「性質」の中では、一般に名詞に関係の深い、容易には変えられないというような性質を示す形容詞ほど名詞に近くなる。
冠詞等 (a, an, this, thatなど) |
|||||||
ちなみに、ビートルズのYou Can't Do Thatの歌詞には叙述的用法で「嫉妬して」のgreenが使われています。
You Can't Do That | Everybody's green |
7-2-2. 限定用法または叙述用法だけの形容詞
7-2-2-1. 限定用法のみに用いられる主な形容詞
(1) | 「名詞+en」の形の形容詞 a wooden box (気の箱), the golden sun (金色に輝く太陽)など |
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(2) | 「過去分詞+en」の形の形容詞 a drunken man (酔っぱらい), a beaten road (踏み固められた道)など。 |
(3) | 程度を表わす形容詞 a mere child (単なる子供), an only son (一人息子)など。 |
(4) | 上・下・前・後などを表わす形容詞 the upper grades (上学年), the lower part (下部), one's former wife (先妻), the latter half (後半), one's elder brother (兄)など。 |
(5) | 所有格と共に用いられるown my own eyes (自分の目) ※ He is on his own.(彼は自立している) |
上記7-2-2-1.の(5)のon one's ownについては、ビートルズの歌詞にも見られます。
Tell Me Why | But you left me sitting on my own |
Don't Bother Me | I can't believe that she would leave me on my own |
It Won't Be Long | Here am I sitting all on my own |
With A Little Help From My Friends | Are you sad because you're on your own |
Good Morning Good Morning | And you're on your own |
7-2-2-2. 叙述用法のみに用いられる主な形容詞
(1) | 接頭語a-で始まる形容詞 be afraid (恐れて), be ashamed (恥じて), be asleep (眠って), be awake (目覚めて), be aware (知って), be alone (ひとりで)など |
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(2) | その他 be content (満足して), be well (健康で)など。 |
上記7-2-2-2.の(1)のaloneの場合については、ビートルズの歌詞にも見られます。
I'm Down | We're all alone and there's nobody else(僕らは二人きり、ほかには誰もいない) 日本人の多くはaloneを自動的に「ただひとりで、孤独で、ひとりで、孤立して」と考えがちなので、「We're all alone」を「私達はみんなひとりぼっち」と訳してしまいそうです。でも「僕らは二人きり」という訳も可能です。ビートルズのI'm Downの歌詞では文脈から「僕らは二人きり」となります。Boz Scaggsの曲「We're All Alone」の邦題は「二人だけ」から「みんなひとりぼっち」になったりしました。今では「ウィ・アー・オール・アローン」になっています。しかし一概に「みんなひとりぼっち」がないとは言い切れないので、「僕らは二人きり」と「みんなひとりぼっち」のどちらなのかは、つまり、複数人数で1つの単位として孤立しているのか、何人いようが1人ずつなのかは、やはり前後の文脈で判断しなければなりません。 |
7-2-3. 限定・叙述の用法によって意味が異なる形容詞
I met a certain lady at the station.(駅である女性に会った)<限定用法> He is certain to succeed this time.(彼は今度はきっと成功する)<叙述用法> |
The late Dr. Makino was an authority on botany.(故牧野博士は植物学の権威だった)<限定用法> I was late for the last train.(終電に乗り遅れた)<叙述用法> |
The present king is weak in body.(現在の国王は病弱である)<限定用法> The king was present at the ceremony.(国王はその儀式に列席した)<叙述用法> |
「私には、それをすることは不可能だ」は?
I am impossibleという形では言えない。impossibleという形容詞は人を主語とする分には使えないからである。
It is impossible for me to do it.
I am unable to do it.
このように、用法上注意しなければならない形容詞には、convenient, important, pleasant, interestingなどがある。
7-2-4. 「the+形容詞」
「the+形容詞」で、名詞としての用法がある。
7-2-4-1. 複数普通名詞になる場合
The old [Old people] should be treated with respect.(老人は尊敬の念をもって扱われるべきだ) この用法はthe+現在分詞, the+過去分詞にも適用される。the living (生きている人々), the deprived (困窮した人達)など。 また、high and low (身分の高い人も低い人も), young and old (老いも若きも)のように、対句になっている場合には、theを付けずに、普通名詞として用いる。 |
She has no eye for the beautiful.(= beauty)(彼女は美的感覚がない) |
7-2-4-3. 物事の部分を示す場合
the white of an egg (卵の白身) the middle of the road (道路の真ん中) |
7-2-5. 慣用表現(前置詞の目的語になる)
I don't know for certain.(はっきりとはわからない) |
I have nothing in particular to do.(特にやることは何もない) |
その他、for long (長い間), for good (永久に), in short (要するに), in full (十分に), of late (最近), in general (一般に), from bad to worse (ますます悪化して)など。