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里芋の葉っぱとアメンボウの足の構造

Structures of Leaf of the Taro
and the Foot of Water Strider (Pond Skater).



アメンボウは水の上をスイスイ進んで行くことができます。もし、水が油になったらどうなるでしょう。また、里芋の葉っぱには水が溜まってコロコロしています。もし、油だったらどうなるでしょう。答えは、アメンボウは沈んでしまうでしょう(そして死んでしまうでしょう)。里芋の葉っぱの上では油は広がってしまうでしょう。これらの現象には水の表面張力が関係しています。水の表面張力は20˚Cで 72 mN/mまたは 72 dyn/cm2で、有機溶媒の表面張力は20 mN/m前後です。だいぶ差があることがわかります。この違いは、水分子H2O同士でH−O−H…O<のように分子間で水素結合(−H…の点線部分)で繋がってネットワークを形成しているのに対して、有機溶媒ではそのようなネットワークを形成できないものがほとんどだからです。そのような水酸基(−OH)をもつ有機溶媒としてはアルコールがあります。アルコールは有機溶媒の中では比較的表面張力は高い方ですが、水の表面張力よりはだいぶ落ちます。このままではシャボン玉はできません。その表面張力を低下させることができれば、シャボン玉ができます。その方法は界面活性剤、または台所にある洗剤を加えることです。

このような高い表面張力を有する水は、里芋の葉っぱの表面の小さな凸凹の中に入り込むことができないため、水玉となってコロコロと転がります。アメンボウの足にも毛がたくさん生えていて、その毛の間に水が浸透できないため、アメンボウの足は撥水性を示します。なので、もし油だった場合は、コロコロ転がらないだろうし、アメンボウは水の上のようにすべることは出来ないだろうということが想像できます。もはやPond Skaterとは言えない状態になるでしょう。

ちなみに「似たもの同士は混ざり合う」、「類は類を溶かす」、英語では"Like dissolves like."です。この場合のlikeは名詞です。たとえば、食塩NaClは水に溶けますが、ガソリン(C8H18)には溶けません。ゴキブリに薄めていない台所洗剤をかけると死んでしまいます。化学の実験室で見つけたら、アセトンやエタノールをかけると、ひっくり返って、間もなく息絶えてしまいます。しかし、水をかけても逃げられてしまいます。これは、ゴキブリの体の油が関係しているわけです。油といっても、光沢をつくる脂質は、ヘプタコサジエンを主成分とするといわれています。ヘプタコサジエンは、その名前から、炭素数27で、C=C二重結合を2つ持っていることがわかります。通常の界面活性剤(洗剤)の尻尾の炭素数はC12〜C16個で、細胞膜の脂質の2本の炭素鎖では、1本当たりC14〜C18個の炭素数ですから、C27個のアルキル基であるならば、結構長い炭素鎖であることがわかります。



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