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尿酸はなぜ酸なのか!?高尿酸血症や尿管結石との関係は?
尿酸はプリン体骨格を有していて、その構造からは酸であることがイメージしにくい化合物です。高尿酸血症や尿管結石の原因物質である尿酸について、その性質とサプリについて調べてみました
尿酸はなぜ酸なのか!?高尿酸血症や尿管結石との関係は?
尿酸はプリン体骨格をしていて、酸の形をしていませんが、ケト-エノール互変異性体を考えればなぜ酸なのかがわかります。酸の定義はアレニウスの定義では水素イオン(プロトン)H+を放出するものとなっています。それなら、水酸基-OHのようなものがありそうですが、エノール型ならあります。酸解離定数pKaは5.8ですので、尿酸の水溶液のpHを5.8にした時にちょうど半分が解離していることになります。すると、pH7の水の中ではもっと解離しています。ルシャトリエの原理によると、pH7の水中ではpH5.8の時より水酸化物イオンOH-が加えられたわけなので、H+とOH-で水H2Oが生成してH+が消費されます。そのH+の消費分を補ってやろうと系が働きます。その結果、化学平衡は右に移動するので、負電荷を有する尿酸イオンが増えることになります。尿酸はアルカリ性側で溶けやすく酸性側では溶けにくいという性質がありますが、その事実と矛盾しません。なぜならば、-O-型の方が-OH型より水との親和性(親水性)は高いからです。酸性側ではH+が多いので、エノール型の尿酸は水酸基がイオン化(-O- + H+)していない状態(-OH型)で存在している分子が多いです。
もう一つの考え方/可能性として、窒素原子上の孤立電子対にプロトンH+が付加して陽イオンとなっている箇所がpH5.8で半数はプロトンを放出しているという考え方があります。これはpKaが5.8であることに基づいています。しかしこの場合、アルカリ性側ではますますプロトンを放出するので水溶性は低下するはずです。それゆえ、窒素原子がプロトン化されていて、そこからプロトンが放出されて酸性を示すというのは誤りと判断できます。したがって、最初の考え方、つまりエノール型の水酸基-OHからプロトンが放出されるので尿酸という名前がついているというのが正しいと判断できます。
尿酸値を抑えるには、食べ物でプリン体の多いものを避けるなどの方法が言われますが、体内の尿酸を分解しにくい体質の人もいて、そういう人たちは贅沢な食べ物を食べていなくても尿酸値が高いことになります。一概に贅沢病とは揶揄できないことになります。
尿酸はビタミンCより抗酸化作用が高いので、活性酸素を捕捉することができます。体内にほどほどにあることは良いことです。しかし、血液中に高濃度であると高尿酸血症となり、飽和濃度より高い濃度の場合、血管の中で再結晶化が起こり、関節の血管で沈殿して結晶化すると痛風という症状になります。薬にも毒にもなる一つの例ですね。風が当たっても痛いということで痛風といいます。また、尿管結石の原因物質の1つです。鳥の糞が白いのは尿酸が含まれているからです。
尿管結石の痛みは女性の陣痛にも例えられるくらいです。私もこれまで4回ほど苦しみましたが確かに痛いです。中には失神する人もいるらしいです。尿管結石の原因物質はシュウ酸カルシウムやリン酸カルシウム、尿酸などと言われています。要するに尿から再結晶化して石が出来てしまって尿管に詰まったと考えればわかりやすいです。血尿が出たりします。病院に行くと尿をとって潜血検査に回されます。尿中で塩類が濃縮されれば結晶化しやすくなります。だから、予防には水分をたくさん摂ることが重要です。症状は寝汗で水分が抜けやすい夏や、夜や夜中に出やすいです。あんな苦しみを味わうくらいなら、ほかに何でもするからとその時は思いました。
予防法としては、「1日に2リットル以上の水を飲みなさい」と医者には言われました。でも、なかなかそうはいきません。例えば寝ている時や夏の暑い時などは水分は汗で出て行きますが、タイミング的に補充はなかなかできないことがあります。そういう場合には水と併せてサプリメントで予防する方法も1つの方法かもしれません。
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