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あいかの香りの萼窪の色と蜜の含有量

Relationship between the color of the hollow of the calyx side of Aika no Kaori Apples and the content of honey-like substance.



この方法の再現性 ★★★☆☆
おすすめ度 ★★★★☆


りんごの蜜の正体


完熟したりんごを食べる時に。包丁で半分に割ると、芯の周辺の果肉が黄色く透き通っていることがあります。これがあたかも蜂蜜が入っているかのように見えることもあり、蜜と呼ばれます。これは、蜜症状といわれるもので、果実の成熟に伴って果肉または果心部組織の一部が水浸し状態になる生理現象です。蜜が入るかどうかは品種にもよるそうですが、私がお気に入りのあいかの香りというりんごは、けっこう高い確率で密に出会うことができます。最近、テレビ(日テレの朝の番組のZIPだったと思います)でやっていたのを見ましたが、蜜がたくさん入っているかどうかの見分け方は、萼窪(がくあ)の部分、つまり、梗窪(こうあ)(すなわち、果梗がついている方のくぼみ)の反対側が緑色よりも白に近いかどうかを見るというものだったような気がします。でも、それは赤色の色づき具合が同程度であった場合ということではないでしょうか。つまり、萼窪が赤く色づいている方が蜜がたくさん入っていると思うわけです。スーパーでいろいろな商品をよく観察してみると、けっこう日光が当たって赤くなっているものもありました。そこで、検証するために私が選んできたのは色付き具合がけっこう異なる下の6個です(サンプル番号は買ってきた順番であって、色づきの順番ではありません)。リンゴやナシなどのバラ科植物では、葉で光合成された糖質(炭水化物)はソルビトールの形で果実に移行し、そこでまずデンプンなどに変換および蓄積され、必要に応じてグルコース、フルクトース、スクロースなどに再変換されます。しかし、蜜の入る品種では、成熟が進むに従って果実の中でソルビトールを他の糖に変換する能力が低下し、その結果、果実内の中央の円形になっているところ(維管束)付近から、ソルビトールが次第に集積します。このソルビトールが浸透圧の関係で周囲の組織から水分を呼び込むことにより、水浸し状態になるのがあたかも蜜があるように見えるメカニズムと考えられています。
本当の蜜ではないので、それ自体が特に甘いわけではありませんが、りんごの蜜は、果実が完熟し、糖分が増し、水分が十分あるという指標・目安ですので、蜜をたくさん含んだりんごはおいしいわけです。

他の果物は別にして、りんごの場合、蜜が少しある状態のうちは、貯蔵中に消えてしまうことがあるそうです。つまり、秋から冬にかけて収穫したものが翌年の1〜2月頃には蜜が無くなってしまっていることがあるそうです。そのようなこともあるということは、より正確な蜜の含有量の比較・評価を行うには、条件の設定が大事です。生っている木が同じで、収穫時期もほぼ同じりんご同士を用いて、しかも流通時の保存状態が同じものを用いた方がより正確な比較・評価ができそうですね(そんなのは無理ですね)。


がくあの色


以下は、着色順に並べてありますので、サンプル番号は前後しています。


Calyx of Aikanokaori Apple
あいかの香りというりんごの萼窪(がくあ)サンプル1(2014年12月17日)


Calyx of Aikanokaori Apple
あいかの香りというりんごの萼窪(がくあ)サンプル5(2014年12月19日)


Calyx of Aikanokaori Apple
あいかの香りというりんごの萼窪(がくあ)サンプル4(2014年12月18日)


Calyx of Aikanokaori Apple
あいかの香りというりんごの萼窪(がくあ)サンプル6(2014年12月20日)


Calyx of Aikanokaori Apple
あいかの香りというりんごの萼窪(がくあ)サンプル2(2014年12月16日)


Calyx of Aikanokaori Apple
あいかの香りというりんごの萼窪(がくあ)サンプル3
(2014年12月17日)


これら6個を実際に割ってみると、下の写真のようになりました。


結果と考察


あくまでも、これら6個で比較した結果ですが、梗窪(こうあ)の部分の色と、中に入っている蜜の量には、ある程度の傾向が見られました。味の方は、基本的には6個とも甘く美味しかったですが、特にサンプル2(下の写真5番目)とサンプル3(下の写真6番目)は蜜がめちゃくちゃたくさん入っていてジューシーでした。水分の量と甘さが若干劣っていたのはサンプル1でした。サンプル4とサンプル5の萼窪の色の順番には多少の議論があるかもしれませんが、ほぼ色の順番通りに蜜が入っているとは言えると思います。サンプル6では混乱しました。サンプル6は、サンプル2とほぼ赤色は変わらないのに、切ってみたら蜜がほとんどありませんでした。むしろ、皮の着色控えめのサンプル4の方が圧倒的でした。サンプル4の特徴は、赤の着色具合はそれほどでもないですが、緑地が黄色っぽくなっています。ということは、赤ではない地肌が青々しているより、もっと白っぽい方がいいというのが何となく理解できそうです。


Calyx of Aikanokaori Apple
サンプル1には蜜がほとんどありませんでした。
青いがくあのりんごはやはり蜜が少ないです。
(2014年12月17日)


Calyx of Aikanokaori Apple
サンプル5には蜜がほとんどありませんでした。
(2014年12月19日)


Calyx of Aikanokaori Apple
サンプル4には蜜がそこそこ入っていました。
(2014年12月18日)


Calyx of Aikanokaori Apple
サンプル6にはほとんど蜜は入っていませんでした。でも味はとても甘くてジューシーでした。
(2014年12月20日)


Calyx of Aikanokaori Apple
サンプル2にはたくさん蜜が入っていました。
(2014年12月16日)


Calyx of Aikanokaori Apple
サンプル3にも蜜は最もたくさん入っていました。(2014年12月18日)



サンプル3の断面の拡大写真。
蜜がたっぷりで透けて見えます。
(2014年12月18日)


結論


ざっくり言うと、「蜜の量と萼窪(がくあ)の色は関係あり」です。しかし、店で選ぶ時に100%の自信で当たりを選ぶことはできないようです(サンプル6とサンプル2の外観の違いがわかりません)。でも、全体的なざっくりとした傾向では、赤色に色づいている個体が蜜がたくさん入っているようです。ただし、蜜といわれる部分だけ食べても、そこだけ特に甘いわけではないので、蜜が入っていないのも甘くておいしかったです。
11月〜12月で、あいかの香りだけで通算10個買ってきて食べました。最近私が嵌ってしまったりんごです。



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