トップページ > 果樹の栽培記録 > 重いアボカドの種は小さいことの再現性の確認

ほぼ同じ大きさのアボカドなら重いものほど種が小さいことの確認

アボカドの密度から種の大小関係を予測する方法を考案しました。その方法の再現性を確認するために、大きい種が入っていると考えられる丸いアボカドで、ほぼ同じ形と大きさのものを3個厳選して買ってきました。なかなか同じようなサイズと形のものを見つけ出すのはたいへんですが、何とか3個見つけ出しました(商品が少ないとうまく揃わないこともあります)。買う時に手で持った感じで重い順番を予想しました。その順番が写真1枚目のD, E, Fです。

家に帰って実際に秤で量ったところ、Dが最も重いというのは当たっていました。EとFはどちらが重いともいえないくらい僅差だったのですが、何とか予想通りでした。妻にも順位を伏せたまま手で持って重い順に並べてもらいました。その結果、Dが一番重いけど、EとFはどちらが重いかわからないと言っていました。それは順番を言い当てたことになります。つまり、主婦の皆さんがスーパーの売り場で手で持って重さの順番をつけことは十分可能であるということです。

3個のアボカドが水に浮くかどうかを確認した後に、密度を測定しました。現在追熟中です。追熟が終わってから割って種の大きさを順次確認します。

2016年12月12日

アボカド
アボカドD(左), E(中央), F(右)

スーパーから買ってきたメキシコ産アボカドD〜F

2016年12月13日

アボカド
アボカドD

アボカドDは水に沈みました。2回目も沈みました。

2016年12月13日

アボカド
アボカドE

アボカドEは水の中ほどで止まっていました。2回目も浮きも沈みもしませんでした。

2016年12月13日

アボカド
アボカドF

アボカドFは水に浮きました。2回目もに浮きました。

2016年12月12日

アボカド
アボカドD(左), E(中央), F(右)

果柄の太さは、E≧D>Fとなっています。種の大きさとは無関係と考えられます。

2016年12月14日9:36

アボカド
アボカドD(左), E(中央), F(右)

これからF(右)を割ります。


表1. アボカド果実の重量、体積、密度、種の重量

アボカド
重量
(g)
体積
(cm3)
密度
(g/cm3)
種の重量
(g)
D
181
169
1.071
38
E
162
156
1.038
32
F
161
160
1.006
37

表2. 水に沈むか浮くかによる水とアボカドの密度の大小関係と種の相対的な大きさの評価

アボカド
果実の比重
種の比重
種の順位
(括弧内は予想)
D
水<果実
水<種
2 (3)
E
水≧果実
水<種
3 (2)
F
水>果実
水<種
1 (1)

※比重とは密度を水の密度で割ったもの。


結果と考察

アボカドD, E, Fの密度を測定してみましたが、秤の精度の問題で、誤差が大きくなるのは仕方ありません。水の中で静止しているアボカドの密度が1.038で水に浮くアボカドFの密度が1.006になっていることから、アボカドEの実際の密度は1.00ぐらいと考えられます。つまり、全体的に密度の実測値から0.03ぐらい引いた値が妥当であると考えられます。測定誤差がけっこう大きいことがわかります。それでも、D, E, Fの密度の相対的な大小関係は変わらないので、種の大きさと密度の間に相関性があるかどうかを評価することはできます。

2016年12月14日9:36

アボカド
アボカドF

まだ少し緑色が残っていて、触った感じでも少し固めですが、果柄の部分は古いので割ることにします。

2016年12月14日9:38

アボカド
アボカドF

割ってみると、意外に追熟は進んでいました。果肉はけっこう脆い感じでした。種の占める割合はかなり大きいことがわかります。何だか損した感じになります。同じ金額を払うなら西洋ナシ型がいいと思います。

2016年12月14日9:41

アボカド
アボカドFの秤量

種を果実から取り出して、ティッシュペーパーで果肉を拭き取りました。アボカドFの種は37gありました。果実の大きさの割にはかなり大きい種です。このFの種を水栽培します。

密度からみたアボカドD, E, Fの種の大きさの順番は、予想ではF>E>Dです。2016年12月14日朝に最初の1個としてFを割ってみました。これまで見てきたアボカドの種の中で、アボカドFの種は果実に占める種の重さの割合は最も大きいことがわかりました。アボカドの密度から種の大小関係を予測する方法の検討で使ったアボカドの中で最も大きかった種はアボカドCのもので、果実の重さ205gに対して種は42gでした。アボカドFの種は果実の重さ161gに対して種は37gです。これを果実の重さ205gに換算すると種は47gになります。この結果からみても、果実の密度が小さいほど種の割合が大きいというのは間違いなさそうです。あとは、種の大きさが予想通りF>E>Dの順になるかどうかです。果実の大きさがほぼ同じなら、果実の密度あるいは種の重量パーセントではなく種の大きさで直接比較できます。そのために同じぐらいの大きさの果実を揃えたわけです。

2016年12月14日14:23

アボカド
アボカドD

まだ少し緑色が残っていて、触った感じでも少し固めですが、割ってみます。

2016年12月14日14:25

アボカド
アボカドD

追熟はOKでした。種の占める割合は洋なし型に比べると大きいですが、Fと比べると若干小さいことがわかります。数値化しないと評価が難しいです。これは、もともと種の大きいおにぎり型のアボカドに統一して比較していることによります。洋なし型と比べたらその差は顕著になると思われます。

2016年12月14日14:32

アボカド
アボカドDの秤量

アボカドDの種は38gでした。重さだけではFと誤差範囲で同じかそれ以上となりますが、Dの方が果実が20gも重いので、全体に占める種のパーセントは下がります。このDの種を水栽培します。

12月14日午後にDを割ってみました。Dの種は38gでFの種37gと誤差範囲で同じかそれ以上となりました。果実の大きさをDの181gに合わせるように比例計算すると、Fの種は42gとなり何とかF>Dとなっています。よって、現在のところ予想は崩れていませんが、EがFとDの間に来るかどうかかなり微妙になってきました。しかし、密度を用いる方法は理にかなっているので実用的な方法だと思いますし、上のFとDの断面の写真でも果肉の量の違いが確認できます。これが果実の密度に反映されています。あとは程度の問題です。個体差があまりないD, E, Fをあえて選んできましたので、比べるのが困難なのは当然です。しかし、スーパーマーケットなどで大小とりまぜていろいろなアボカドがある中から選ぶ場合は、洋なし型を優先して選べばいいわけですし、同じ形で大きさも同じぐらいでどれにしようか迷ったら、重い方を選べばいいわけです。今回の検討で得られた知見は、できるだけ種が小さくて果肉が多いアボカドを選びたい時に役立つと思います。あとは、重さの違いを判断できる"腕"があるかどうかです。

2016年12月15日9:10

アボカド
アボカドE

だいぶ黒っぽい緑色になりましたが少し固めです。割ってみます。

2016年12月15日9:11

アボカド
アボカドE

皮が固かった割には中身はジュクジュクしていました。追熟はOKのレベルでした。断面の形はDとほぼ同じに見えます。

2016年12月15日9:15

アボカド
アボカドEの秤量

アボカドEの種は32gでした。重さだけでは3個の中では最も軽いという結果になりました。果実の重さをEに合わせる比例計算を行うと36gとなります。やはり3つの中では最も種が小さいということがわかりました。この原因として、零れた水の量が156cm3と過大評価された結果、密度が過小評価された可能性が考えられます。アボカドの体積が小さいと零れた水の測定誤差が大きいといえます。151cm3程度なら種の大きさの順序は妥当な結果になります。このEの種を水栽培します。

本法では果実の体積が小さいと測定誤差が大きくなるようです。それは「アボカドの密度から種の大小関係を予測する方法」にて得られた表1の密度の数値と比べてもわかります。洋なし型のAがA〜Fの中では最も密度が大きくなると考えています。体積が小さいと測定誤差が大きくなる原因として、水の表面張力が関係していて、急に堰を切る感じがあるので、Eを沈めた時に零れた水の量が多くなってしまった可能性が考えられます。もう一つはアボカドを取り出す時に濡れている分、水が減ります。その結果、減った水の量で求めたアボカドの体積は過大評価されることになり、アボカドが小さいほどその影響は大きいです。やはり、より正確な測定をするためには減った水の量で算出する方法はあまりよい方法ではありません。何よりも、零れた量を重さに換算して測定するのは直接的ではないので誤差がかなり出るだろうことは容易に想像できます。それより、アボカドが入る大きな直径のメスシリンダーを使って、体積の増加分を直接読み取る方が断然正確です(私は持っていないのでできません)。それゆえ、キッチンレベルでの実験は正確さには限界があります。しかし、一連の実験は同じ条件で系統的に行っているので、比較的大きなアボカドを用いた密度は、絶対値には多少のずれがあっても相対的な大小関係はおおむね問題ないと考えています。このページの表1に示した比較的小さめのアボカドの密度は特にEが測定誤差が大きいと考えられるので、参考程度にとどめます。しかし、DとFの関係は矛盾していないため、果実の密度が大きいほど果実中の種の割合は小さいとみてよいというのが私の見解です。よって、再現性はあるというのが私の結論です。

Eの密度が小さい方にずれている件で考えられるもう一つの可能性は、Eの肉質がDやFと若干異なるということです。断面写真3枚を見比べるとEの果肉はかなり脆い感じであるのがわかります。それが密度に影響している可能性はあります。ただ、そこはもう確かめようがありませんし、実際のところ、密度の計算値に影響が出るほどではないような気もしています。

いずれにしても、アボカド果実が水に浮くか沈むかという現象と果実中の種の割合には相関性が見られ、矛盾はありせん。数値的には元々あまり大差ないと予想されるにもかかわらず、理論的に興味があったので敢えて丸いタイプで種も丸くて大きいアボカドD, E, Fの3個で再現性を検討したわけですが、DとEの密度の関係のように細かいところでは多少の矛盾点があっても比較的大きなアボカドを用いた場合は大勢に影響はなく、基本的には密度で評価できるという結論は変わりません

まとめ

3個全部割った時点で果たして予想通りになるか不安でしたが、案の定、若干の順位の変動がありました。しかし、元々僅差のところで評価しているので、キッチンレベルではこのぐらいが限界だと思います。化学の実験室であれば大きなメスシリンダーがあるので、もっと正確な測定ができると思います。それでも、水に浮くか沈むかで評価した大まかな密度と種の大小関係に矛盾は見られませんでした。よって、果実の密度が大きいほど種の占める割合が小さい傾向があるという結論は揺るがないと思います。あとは、店でアボカド果実を選ぶ時のわずかな重さの違いを判断できる腕があるかだと思いますが、上で示した3枚の断面写真を見ればわかるように、丸いタイプの果実ではどれを選んだとしても果肉の量に大差はありません。洋なし型では重さが効いてくると思われます。興味があるのであえて大きな種の入っている丸いタイプのアボカドを3個選択し、理論的な観点から検討してみたわけですが、最も重要なのは、丸形よりも西洋ナシ型の方が果肉が多くて種も小さい可能性が高い、つまり、お得である可能性が高いということです。同じ形で同じ大きさのものが2つあったとすれば、重い方を選べばよいということです。

結論

誰でもできるお得なアボカドの判断法は、丸いアボカドではなく洋なし型を選ぶことです。その上で、さらに職人芸でできるだけ重い個体を選ぶかどうかです。ただし、同じタイプの中からできるだけ重いものを選ぶ場合は、果肉の量は洋なし型と丸形ほどの差はなく、五十歩百歩です。つまり、丸いアボカドと洋なし型のアボカドの間の差がかなり大きいので、両者が混在している売り場では洋なし型を選択することでかなりお得になり、さらにその中でより重いものを選べば、ほんの少しだけどさらにお得になるというのが、今回の一連の検討を通して出した結論です。丸形のアボカドしか残っていない売り場では、妥協して丸形の中からできるだけ重いものを職人芸で選ぶか、洋なし型を求めて別の店に行くことになるでしょう。また、例えばお子さんが丸くて大きい種を欲しがっている場合は、丸いタイプのアボカドでできるだけ大きいものを選び、同じぐらいの大きさの果実が複数ある場合は、最も軽い個体を選べばよいということになります。ただし、あくまでもそういうのに当たる確率が高いということであり、絶対ということではありません。

興味のある方は、ぜひ試してみてください。

それでは、また。

アボカドDの種の詳細と水栽培はこちら →

アボカドEの種の詳細と水栽培はこちら →

アボカドFの種の詳細と水栽培はこちら →







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