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アボカドの密度から種の小さい個体を見分ける方法
アボカドの密度から種の小さいアボカドを見分ける方法を検討しました。この方法は、果柄の太さと種の大きさは関係ないという前回の結果を踏まえて、新規に考えた方法です。本来の目的は、スーパーで選ぶ時にできるだけ果肉の多いお得なアボカドを目視で選ぶことを可能にする方法を見つけることです。しかし、密度は肉眼で確認できないので、店でアボカドを選ぶ時に適用するのは実際は無理です。それでも、理論的な観点から興味があるので検討してみることにしました。
2016年12月9日

スーパーから買ってきたニュージーランド産西洋ナシ形アボカドA〜C
2016年12月9日

果柄の比較
2016年12月9日

アボカドAの果柄
2016年12月9日

アボカドBの果柄
2016年12月9日

アボカドCの果柄
2016年12月9日

こぼれた水の重さを計算
醤油が入っていたPETボトルを切って、水を満杯にして重さを量りました。そして、果実を入れてこぼれた水の重さを引き算で算出しました。それを体積に換算しました。水の密度は1.0g/cm3としました。
2016年12月10日

アボカドの種Aの種は32gでした。
2016年12月12日

アボカドの種Bの種は40gでした。
2016年12月10日

アボカドの種Cの種は42gでした。
2016年12月10日

アボカドCの種の種の頂部は少し変わっています。頂点のまわりが凹んでいます。
2016年12月10日

百均のダイソーで買ってきた卵ケースに入れたアボカドの種A(左), B(中央), C(右)。Cはちょうど卵ケースの穴にはまりました。重い順に並べるとC>B>Aとなります。果柄の太い順に並べるとB>A>Cとなります。果柄の太さは関係ないことがわかります。
2016年12月10日

カッターの刃で種の薄皮を持ち上げる時に付いた傷のところが赤褐色になっています。アボカドの種Cの頂部が他の2個とは異なっていることがわかります。Cの種はどこから見て左右対称の形をしています。
(g) |
(cm3) |
(g/cm3) |
(g) |
|
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※比重とは密度を水の密度で割ったもの。密度より比重の方が重さの比較において直感的にわかると思い、ここでは比重の方を用いました。
考察とまとめ
2016年12月9日に買ってきた3個のアボカドを使って、果実の密度から最も種の小さいアボカドを見分ける方法について検討した結果、果実の密度が小さいほど、種が大きいという結果が得られました。これは一見、意外な結果に映ります。なぜかというと、種は3個とも水より重かったので種が大きいほど果実の密度も大きいと考えられるからです。つまり、最も密度の大きいアボカド果実が最も種が大きそうです。そもそもアボカドの果実は油分も多いわけですから、私の持っているイメージとしては果肉の比重は1より小さそうです。しかし、実際は密度の小さいアボカド果実ほど、中の種が大きかったわけです。これをどう解釈したらいいのでしょうか。
私なりの考察をしてみます。果実の皮の部分は密度が小さそうです。その内側の果肉が種よりも密度が大きいのだと思われます。そうであれば果肉の多いアボカドほど平均の密度は大きくなり、辻褄は合います。密度勾配館があればすぐに結論が出そうですが、私は持っていませんので確かめることができません。
しかし、そういった細部がわからなくても店でアボカドを選ぶ時にとにかく重いアボカドを選べばいいことになりませんか。同じ値段で小さいアボカドは、よっぽど種が小さくない限りお得ではありません。大きいアボカドほど果肉が多くてお得である可能性が高いことになります。逆に、大きいアボカドでお得でない場合というのは、種がめちゃくちゃでかくてその分果肉が少ない場合です。よって、できるだけ果肉の多いアボカドを選ぶコツは、できるだけ重い個体を選ぶことというのが、今回の検討の結論です。果柄の太さでは種の大きさはわかりませんでしたが、密度なら理論的に説明がつきそうです。
これが、もし密度の大きい果実ほど種が大きいという結果が出ていたらどうだったでしょう。出来るだけ軽い(小さい)アボカドを選べば種も小さいということになるわけです。これはとても混乱します。なぜならば、売られているアボカドには大きいのもあれば小さいのもあります。出来るだけ小さいアボカドを選ぶ時点でお得ではありません。出来るだけ大きい果実でできるだけ軽いものは何を基準に選ぶのでしょう。どこかでトレードオフしなければなりません。
でも、今回の結論は「できるだけ重い個体を選ぶ」ですので、小さいのや大きいのが混ざっていた場合は単純に大きいのを選べばいいわけですし、同じ大きさのものがあった場合は重い方を選べばいいわけです。手で持った感じで重いのを選べばいいわけです。訓練すれば上達する可能性もあります。
ちなみに果柄の太さの順番はB>A>Cでした。種の大きさはC>B>Aとなったので、同じ順番にはなっていません。やはり、果柄の太さと種の大きさは関係ないというのが今回の検討でも支持される結果となりました。
今回の「できるだけ重いものを選ぶ」という結果を踏まえて、同じくらいの大きさと形のアボカドを12月12日に3個買ってきました(表3)。果実が同じくらいの大きさなら重いほど種が小さいことを確認するためです。言い換えると「密度が大きいほど果実に対する種の割合が小さい」ことを確認するためです。仮に果実が同じ大きさなら、種の大きさを直接比較できることになります。実際は同じ大きさの果実はありませんので、同じような形でできるだけ同じくらいの大きさのものを3個買ってきました。
これまでたくさんのアボカドを切って種を見てきた中で、洋ナシ型のアボカドが小さい種が入っている確率が高いです。いろいろな形のアボカドがある中で、まず最初にアボカドの形状で洋ナシ型を選ぶと、種が小さい個体である確率が高いです。ばくだんおにぎりのような丸いタイプのアボカドはけっこう丸くて大きな種が入っていることが多いです。真球状に近いかなり丸いアボカドには小さくて尖ったドングリ型の種はまず入っていないと考えていいと思います。洋ナシ型はおにぎり型の上にさらに果肉が伸びている形をしています。さらにその中の種が小さいなら食べるところが多くてかなりお得です。種が小さいと評価しにくいので、あえて種が丸くて大きいと予想される表3のようなアボカドを再現性の検討用に選んできました。
※今回の結論はあくまでも私個人の選んできたアボカドではたまたまそうなったという可能性もないとは言えません。まだ一般性の確認までは至っていませんので、あくまでも参考程度にとどめてください。世の中にはいろいろなアボカドもありますし、産地とか収穫時期とか品種とかの初期条件も様々でしょうから、すべてのアボカド果実にこの方法が適用できるとは限りません。密度によるアプローチはリーズナブルだと思っていますが、サンプルばらつきの影響はあるかもしれません。なので、必ずしも上記のような結果にならなかったとしても、当方ではいかなる責任も負いませんので、よろしくお願いします。あくまでも一つの考え方として捉えてください。一般性の確認は今後行う予定ですが、アボカドの食べ過ぎにならないように少しずつやっていきます。
アボカドAの種の詳細と水栽培はこちら →
アボカドBの種の詳細と水栽培はこちら →
アボカドCの種の詳細と水栽培はこちら →
2016年12月12日

上記の方法が実際にいろいろなアボカドに適用できるの検証する必要があります。まずは再現性確認用に3個買ってきました。メキシコ産のアボカドでした。左からD, E, Fとします。追熟が終わったら重いほど種が小さいかどうか確認します。
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