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アボカドの種の大小を外観から予測できるかどうかを検討
これまでたくさんのアボカドを切った時に見てきて、一般に西洋ナシ形のアボカドに入っている種の形はそんなに大きくないどんぐり型のものが多いような気がします。一方、卵形のアボカドには丸くて大きい種が入っていて、食べるところがかなり少ないものが多いという印象です(写真はありませんが・・・)。
まずNo.1を11月30日夜に割ってみました。その結果を下記に写真で示しています。No.1のアボカドはどんぐり型の種が入っていることは予想していましたが、予想以上に大きいのが入っていました。果柄の大きさは特に大きいことはないですので、この結果だけ見てみると予想は難しいのではないかという気もします。でも、まだ1個ですので、わかりません。
2016年11月29日

スーパーから買ってきたメキシコ産西洋ナシ形アボカドNo.1
2016年11月29日

アボカドNo.1の果柄の部分
2016年11月29日

アボカドNo.1の果柄が取れました。
2016年11月29日

アボカドNo.1の取れた果柄の裏側
2016年11月29日

割ったらかなり大きいドングリ形の種が入っていました。このNo.1の種で発芽実験します。
2016年11月30日

スーパーから買ってきたメキシコ産の西洋ナシ形アボカドNo.2〜No.5
No.2〜No.5は現在追熟中ですので、まだ割っていません。割る前に予想をしてみます。No.2〜No.5の中で、最も大きい種が入っているのはNo.5だと予想します。しかも丸い(真球状に近い)種ではないかと思います。西洋ナシ形のアボカドNo.2〜No.4のうち、最も小さい種が入っているのはNo.3だと思います。次に小さいのがNo.2、最も大きいのがNo.4と予想します。つまり、No.2〜No.5の種の大きさの順番は、
のようになるのではないかと予想します。果柄の大きさがNo.5>No.4>No.2>No.3だからです。この予想と実際の結果を比べて考察しようと思います。もし当たっていたら私の考え方が正しいことになるでしょうし、違っていたら判断の仕方がわかるかもしれません。しかし、外観からは判別できないという結論になるかもしれません。
2016年11月30日

スーパーから買ってきた西洋ナシ形のアボカドNo.5
2016年11月30日

アボカドNo.5の果柄の断面
2016年12月3日

アボカドNo.5を割ってみました。種は小さくて、果肉が多いです。
2016年12月3日

アボカドNo.5の果柄の外れたところの様子です。
2016年12月3日

アボカドNo.5の果柄の裏側です。
2016年12月3日

アボカドNo.5の果柄の側面です。果柄自体は今回用いた5個のアボカドの中で最も大きい(付け根が太い)です。
2016年12月3日

アボカドNo.5(右)をNo.1(左)と比べました。No.5の種は私がこれまで見たアボカドの種の中で最も小さいと思います。果柄は大きかったのに種が小さいです。もしかしたら私の付けた順番は逆になるのでしょうか。つまり、果柄が大きいほど種が小さいという、にわかには信じられない仮説です。このNo.5の種を用いて水栽培します。
2016年11月30日

スーパーから買ってきた西洋ナシ形のアボカドNo.3
2016年11月30日

アボカドNo.3の果柄の断面
2016年12月4日

色の割には軟らかいです。今夜切って確認します。
2016年12月4日

左からNo.2, No.3, No.4です。果柄の部分の直径はNo.2≧No.4>No.3です。昨日のNo.5の結果に基づいた考察が正しければ、No.3には割と大きめの種が入っていることになりそうです。つまり、種の大きさはNo.2≦No.4<No.3の順番になりそうです。しかし・・・夜にNo.3を割ってみたところ・・・
2016年12月4日

No.3の種は, No.5の種とあまり変わらないくらい小さなものでした。つまり、もはや果柄の大小で種の大小はわからないと言わざるを得ません。まだ検討していないNo.2とNo.4が残っていますが、おそらく相関性のない結果となるでしょう。No.3の種は水栽培します。
2016年11月30日

スーパーから買ってきた西洋ナシ形のアボカドNo.4
2016年11月30日

アボカドNo.4の果柄の断面
2016年12月5日

5日経過したアボカドNo.4。日本に輸入されているハス種は追熟で色が変わっていくといわれていので、これはハス種だと思います。最終的には黒っぽくなりますが、もう今日12月5日夜には切ります。
2016年12月5日

アボカドNo.4の果柄の断面はNo.3より少し大きくてNo.2と同じぐらいです。No.4の種はNo.3より少し大きく、果柄の大きさはNo.4よりNo.3が少し大きいです。よって、No.5の結果と合わせて考えると、果柄の大きさと種の大きさには相関性があるとはいえません。No.4の種は水栽培します。
2016年11月30日

スーパーから買ってきた西洋ナシ形のアボカドNo.2
2016年11月30日

アボカドNo.2の果柄の断面
2016年12月7日

買ってきて1週間経ちました。色がだんだん変わってきましたが、まだ固いです。このNo.2には表皮に突起物が数カ所あります。なぜこうなったのか不思議です。
2016年12月8日

果柄の付近だけ紫色になってきました。
2016年12月8日

側面の色はさほど変わっていません。8日の夜に割ってみました。No.2の種はNo.4の種より少し大きいという結果になりました。よって、果柄の大きさと種の大きさには相関性はあるとはいえません。No.2の種は水栽培します。
途中経過とまとめ
アボカドの外観から小さい種の個体はどれなのかを判別できれば、その分食べられる果肉の部分が多くなるのでコスパが良くなります。今回、果柄が相対的に太いか細いかで、種の大きさの順位付けができる(つまり、小さい種の入ったアボカドを判別することができる)のではないかと考えて、5個買ってきて検証実験しています。まだNo.1しか検討していないので比較ができませんが、No.2〜No.5は現在追熟中です。割るまでにもうしばらくかかるので、まだ結果は出ていません。収穫する時期も関係するかもしれないし、いろいろな複雑な要素が絡んでいるかもしれませんし、そもそもそんなことはできないかもしれません。でも、出来ないという結論になったとしても、それはそれで意味があります。生育条件も異なるでしょうし、収穫のタイミングも異なるかもしれませんから、条件を揃えた検討は難しいと思います。しかし、大まかな傾向だけでも把握できれば役立つ情報になると思います。
2016年12月3日にNo.5を割ってみました。結果は、予想に反してかなり小さな種が入っていました。もしかしたら順番は私の当初予想した
ではなくて、その逆の
のようになるのではないでしょうか。つまり、私は当初、果柄の断面が小さいほど小さい種が入っているのではないかと考えていましたが、実はその逆、つまり果柄が太いほど種が小さいのではないかというものです。なぜならば、今日の検討結果で最も種が大きいと予想していたNo.5のアボカドは最も種が小さかったからです。つまり、果柄の直径が最も大きかったNo.5が、種が最も小さかったからです(果柄が太いと種が小さい根拠は説明できません)。もし、この仮説が正しいならば、私が当初予想した順番の逆になるわけです。No.2, No.3, No.4の順番は多少変動があるかもしれませんが、少なくともNo.1とNo.5の関係から見て、果柄が細いものが種も小さいという仮説は脆くも崩れ去りました。そのため、果柄が太いほど種が小さいという苦し紛れの仮説が発生しました。
でも、そもそも果柄の大きさなんかでは種の大小はわからないという結論になる可能性もあるわけです(実はこれが最も有力)。それも含めて、No.2, No.3, No.4を割るのが待ち遠しくなりました。
2016年12月5日の夜にNo.4を割ってみました。種の大きさはNo.4>No.3となりました。果柄の大きさはNo.4<No.3でした。よって、本当にバラバラな結果となりました。つまり、果柄の大きさと種の大きさは相関性があると結論付けることはできません。
2016年12月8日の夜にNo.2を割ってみました。種の大きさはNo.2>No.4>No.3となりました。果柄の大きさはNo.4<No.2<No.3でした。よって、やはり、果柄の大きさと種の大きさに相関性は見られないというのが結論です。
でも無駄だったとは思いません。なぜならば、サイエンスの研究ではほとんどがこんなことばかりで、その中で数少ない成果がすごいことだったりするわけです。場合によってはノーベル賞だったり・・・。ただ、「アボカドの種の大きさの予測」はテーマとしては小さいですけどね。でも、今回の結果で、これ以上無駄な労力をかける必要がなくなりました。これ以上果柄の大きさは気にしなくて済みます。それを除外した新しい見方でアボカドを見られるので、そこでまた新しい発見があるかもしれません。研究する上においてはこういうのは失敗とはいいません。「新しい知見が得られた」とか、「同じことを繰り返さないためのデータが得られた」と考えます。よく学生が実験結果が予想通りにならなかったら「失敗しました」「失敗でした」と言いますが、そういうのは失敗ではないです。不注意でガラス器具を割ってしまったとかいうのは失敗ですけど。そういう意味で今回の「アボカドの果柄の大きさから種の大小を予測することはできない」は「これ以上無駄な労力をかける必要がなくなった」という点で役立つ貴重なデータです。
このあと、アボカドの密度から種の小さいアボカドを見分ける方法を検討しました。一定の成果が得られました。
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