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トップページ > サイエンス関連 > おいしい梅酒の作り方と浸透圧

おいしい梅酒の作り方を浸透圧の観点から考えてみました!

梅酒を作る時、普通の砂糖は使わずに氷砂糖を使います。なぜ普通の砂糖は使わないのでしょう。これには浸透圧の時間による変化が関係しています。

梅酒の作り方はとても簡単です。広口ビンの中によく洗った梅の実と氷砂糖を入れて、ホワイトリカーまたは焼酎またはブランデーを入れます。そして2〜3ヶ月放置するだけでできます。早ければ1ヶ月でも飲めないことはありません。

ここではホワイトリカーを例に説明します。梅の実の皮はある意味、半透膜とみなすことができます。梅の実の内部はエキスがいっぱい含まれていて、内部の溶質の濃度は高いといえます。つまり、初期の段階(氷砂糖を入れる前の段階)ではホワイトリカーより梅の果実の内部の方が浸透圧が高いことになります。

ここで浸透圧について押さえておきましょう。半透膜で仕切った2つの溶液があるとします。溶媒は共通です。普通は水で考えます。なぜならば、塩類は有機溶媒には溶けないからです。それに、人間の体重の6〜7割は水分だからです。その溶液の溶媒である水は、半透膜を自由に通過できる大きさですが、溶けているイオンは半透膜の穴より大きいので通過できません。このような状況で、水分子は濃度の低い方から高い方へ移動して、同じ濃度になろうとします。つまり、浸透圧の低い方から高い方へ水分子は移動します。液面は濃度の高い側が上がります。この液面を圧力をかけて元の液面の高さまで戻すと仮定した時の圧力が浸透圧と定義されています。

よく、塩分を摂り過ぎると血圧が上がると言います。これは、血管が半透膜と考えるとわかります。血液中の塩分濃度が上がって、外の細胞から水を吸収すると、血液の量が増えてしまいます。なので、血圧が上がる訳です。高血圧の人は要注意ですね。

ここで梅酒の方に話を戻します。氷砂糖を入れる前はホワイトリカーが梅の実の皮を通って梅の果実の中に入っていきます。ここで氷砂糖を入れたとします。時間の経過とともに氷砂糖がホワイトリカーにゆっくり溶解していきます。氷砂糖の表面積が小さいからゆっくり溶解するわけです。溶解してくると、ホワイトリカーが次第に濃い砂糖溶液にかわっていき、梅の実の中より浸透圧が高くなってきます。こうなると、梅のエキスをたっぷり含んだホワイトリカーが梅の実の皮を通って外に出てくることになります。

よって、初期の段階ではホワイトリカーを梅の実の中に滲み込ませ、あとの段階で外に抽出するというようにもっていけば、おいしい梅酒ができるはずです。

つまり、砂糖をゆっくりと溶解させることがコツであり、その点において氷砂糖は好都合であるわけです。

一方、普通の砂糖を使うと、すぐに溶解してしまいます。なぜならば、砂糖の粒が氷砂糖と比べ物にならないほど小さいので、同じ質量あたりのトータルの表面積は氷砂糖より砂糖の方がはるかに大きいからです。溶媒と接触している面積が大きいほど溶解は速いということは理解してもらえると思います。砂糖がすぐに溶けてしまうと、いきなり浸透圧が梅の内部より高くなってしまうので、ホワイトリカーが梅の実の中に滲み込む暇がなく、最初から梅の実のエキスが外に出てきてしまうことになります。

このやり方だと、梅のエキスの抽出効率が非常に悪くなりますよね。つまり、梅の香りや味の少ない梅酒ができてしまうことになります。なので、梅酒には氷砂糖が欠かせないわけです。ホワイトリカーのかわりに、焼酎を使うか、ブランデーを使うかは好みです。

こうして考えると、普通の砂糖は使えないのでしょうか。ホワイトリカーと梅だけである一定時間放置して、あとで上白糖を入れても氷砂糖を使った時のような時間差はつくれるような気がします。

誰か、お酒が大好きで、しかもこのことに興味のある方は、比較実験してみたら面白いかもしれませんね。さすがに、夏休みの自由研究にはこの題材は使えないでしょうけど。

最後に一言。ポカリスエットやアクエリアスのようなアイソトニック飲料は体に速く吸収されるようなイメージがありますが、体液との浸透圧の差で考えると、真水やお茶の方が吸収が速いはずです。これも意外と盲点ですよね。ただ吸収が早ければいいわけではなく、汗で抜けたイオンを補給する必要があるので、水を飲んでから梅干しを食べるのもありかもしれませんね。


まとめ

梅酒を作る時に氷砂糖を使う意味がおわかりいただけたかと思います。時間差を利用するわけです。最初は砂糖を入れずに、あとで入れるのも手かもしれませんね。その時は氷砂糖ではなく、表面積の大きい普通の砂糖を使ってもできるのではないでしょうか。試してみて飲み比べたら面白いと思います。






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