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トップページ > サイエンス関連 > 空気より重い気体、軽い気体の判別方法

空気より重い気体、軽い気体の判別方法〜プロパンガスが漏れたら床に溜まります!

ある化合物の気体または蒸気が空気より重いか軽いかは、その化合物の分子量(分子を構成している原子の原子量の総和)が28.8より大きいか小さいかで判断することができます。28.8は、空気中に窒素N2が80 体積パーセント、酸素O2が20 体積パーセント存在すると仮定して計算した平均の分子量です。これが一般に用いられる空気の分子量です。

原子量(周期表に載っている値)をN=14.0, O=16.0として計算すると、

14.0×2×0.8+16.0×2×0.2=28.8

正確な組成で計算すると28.6となりますが、一般には28.8が用いられます。これが、空気の平均分子量に相当します。なぜこのような考え方ができるかというと、「1 molの分子の重さは分子量にグラムをつけたものに等しく、1 molの気体の体積は標準状態で22.41 リットル」だからです。1モルとは、この場合、6.02×1023個の分子の集団のことです。標準状態(0 ˚C, 1気圧=1013 hPa)において、空気28.8グラムの体積は22.4リットルであることを意味しています。これによって、空気の密度を求めることができます。

ある気体があったとして、その分子の原子量の合計にグラムをつけた量は、標準状態(0 ˚C, 1気圧=1013 hPa)で22.4リットルです。ここで密度を求めて、その密度の値を空気の密度と比べて大きければ空気より重いし、小さければ空気より軽いことになります。

ここですでに気づいた人がいると思いますが、密度を比較する前に分子量を比較すればそれでよいですよね。なぜならば、密度を算出する時、その比較する気体すべてについて22.4 Lで割るからです。つまり、22.4 Lで割る前の分子量の値を比較すればよいことになります。

プロパンはC3H8です。分子量は、12.0×3+1.0×8=44.0、モル質量は44.0 g/molとなります。空気の平均分子量28.8より重いことがわかります。

なので、プロパンガスがもし室内で漏れたら、低いところや物陰に溜まる性質があります。風通しを良くしてプロパンガスを屋外に追い出す必要があります。

火山の近くに硫化水素H2Sが発生していた場合を考えてみましょう。H2Sの分子量は1.0×2+32.1=34.1なので、空気より重いことがわかります。つまり、H2Sは、そこに窪地があったら溜まっていることになります。そこに私たちが落ちたらどうなるか、想像に難くないと思います。

液体の場合でも、その蒸気1 molが28.8 gより大きいか小さいか、もっと単純化すればその分子量が空気の平均分子量より大きいか小さいかを比較すれば、その液体の蒸気が空気より重いか軽いかを判断できます。この考え方は消防法の定める危険物の取扱いにおいて非常に重要です。

例えば、引火性液体の引火点より高い温度で液体が蒸発し、蒸気が上がる。その蒸気が空気より重ければ下に溜まってしまいます。そこに火源があれば爆発します。引火点が室温より低い温度域にある引火性液体の取り扱いは十分注意する必要があります。このような現象は化学を習っていない人々の生活にも関係しています。

身近な例で考えてみましょう。寒い朝(0 ˚C, 1気圧)に、石油ストーブに灯油(引火点:40 ˚C、主成分:ドデカンC12H26ぐらい、分子量170.3前後)のかわりに間違ってガソリン(引火点:-40 ˚C、主成分:イソオクタンC8H18、分子量114.2)を入れてしまって点火した場合、どうなるでしょうか。

まず、引火点とは、気体の空気中での燃焼範囲(燃えることができる濃度の範囲)の下限値に達する時の温度です。灯油の引火点は40 ˚C、ガソリンの引火点は-40 ˚Cということは、灯油は気温40 ˚Cにならないとが引火点に達しないことを意味しています。日本だったらめちゃくちゃ暑い夏だったらぎりぎりあり得るかどうかというレベルです。どのみち、夏にはストーブは焚きませんよね。一方、ガソリンは気温-40 ˚Cだったとしても引火点に達しています。日本の冬の寒い朝の気温は-40 ˚Cより高いです。なので、日本では寒い朝でもガソリンは蒸気が上がって、床に溜まっています。そこに火があると引火して爆発します。

このように、引火性液体の取り扱い方法は、引火点と蒸気密度(モル質量(g)/22.4 (L))の両方を考慮して判断する必要があります。本来は蒸気密度の単位はkg/m3)ですが、換算するとg/Lと同じだからです。


まとめ

気体または蒸気が空気より重いか軽いかは、その気体の分子量(モル質量)を調べて、その値が空気の分子量28.8(モル質量28.8 g/mol)より大きいか小さいかで判断することができます。
この考え方でいけば、湿った空気は乾燥した空気より軽いことになりますね。なぜならば、水の分子量は18.0で、空気の平均分子量は28.8だからです。湿度が高くなるほど窒素分子N2と酸素分子O2の混合気体の中にそれらより軽い水分子H2Oが入ってくるわけですから、平均値は軽くなりますね。






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