21-1. 動名詞の働き
分詞の主な働きは形容詞であるが、動名詞の中心的な働きは名詞である。従って、文の中では名詞と同じ働きをする。
Running is good exercise.(走ることはよい運動だ)<主語> |
It is very nice taking a walk early in the morning.(朝早く散歩をするのは気持ちがよい)<主語> |
I enjoyed playing tennis.(私はテニスを楽しんだ)<目的語> |
He was blamed for stealing the money.(彼は金を盗んだことで非難された)<前置詞の目的語> 動名詞には前置詞の目的語となる用法が多い。前置詞の次には不定詞は来ない。たとえば、 |
My job is cutting articles out of newspapers.(私の仕事は新聞の論説を切り抜くことだ)<主格補語> |
We call that cribbing.(私達はそれをカンニングと呼ぶ)<目的格補語> |
動名詞の形容詞的用法
動名詞が名詞を修飾する形容詞(限定用法)の働きをすることがある。動名詞の場合は名詞の前から修飾する方法だけである。分詞との用法の違いに注意しよう。
a smoking room(喫煙室)(= a room for smoking) |
この用法の動名詞は名詞の「用途・目的・起源」を表す。一方、名詞の「動作・状態」を表す時は次のように分詞を使う。
a smoking chimney(煙を出している煙突)<分詞>--状態 |
「動名詞+名詞」のときのアクセントは、動名詞を強く、名詞を弱く発音する。分詞の時は名詞にアクセントを置く。
21-2. 動名詞の用法
21-2-1. 動名詞の完了形
完了形の動名詞は、不定詞・分詞の時と同じく、文の動詞の表す時制より以前のできごとを示す。
文の動詞の時制と同時またはそれよりも未来のことは、単純形(-ing)でよいことも不定詞・分詞と同じである。
He denied having been there.(彼はそこに行っていたことを否認した) |
She admitted having broken the glass.(彼女はそのコップを割ったことを認めた(コップはオランダ語)) |
remember(forgetなど)+動名詞
remember, forgetなどのように、動詞の意味自体に過去の内容を含む動詞は、完了形にせず、単純形動名詞を使うのが慣用的である。
I remembered seeing him.(= I remembered that I had seen him.)(彼に会ったことを思い出した) |
21-2-2. 動名詞の否定
これも動名詞・分詞の場合と同様で、「not [never]+動名詞」の語順をとる。しかし、実際の英文にはあまり使われない。
He is proud of never having accepted bribes.= He is proud that he has never accepted bribes.(彼は収賄したことがないことを誇りにしている) |
否定語の位置の移動に注意する。後者の文の方が口語的である。
21-2-3. 意味上の主語
動名詞も不定詞・分詞と同じように、意味上の主語が文の主語と違う場合に、直前に意味上の主語を置く。
動名詞の意味上の主語は所有格で示す |
口語では、名詞はそのまま('sを付けない)だったり、代名詞は所有格を用いることがある。
I cannot excuse his [him] being rude to you.(彼があなたに対して失礼を働いたことは許せない) |
She is looking forward to Maki('s) coming.(彼女はマキが来るのを待ち望んでいる) |
I once heard of a pilot('s) becoming mad in mid-air.(パイロットが空中で気が狂ったという話を聞いたことがある) |
注)名詞が無生物の時は所有格にならない。
I couldn't stand things always going astray.(品物がいつもどこかに見えなくなるのに我慢できなかった)
standは否定形で「我慢できない、堪えられない」という意味になります。ビートルズの歌にもあります。
You Like Me Too Much | 'Cause I couldn't really stand it |
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意味上の主語と否定語はどちらが先?
意味上の主語と否定語とが一緒の時は、意味上の主語が先、否定語がそのあとに来る。
I am sure of his [him] not passing the examination.(彼が試験に受かるわけがないと私は思う) |
注)名詞が無生物の時は所有格にならない。
I couldn't stand things always going astray.(品物がいつもどこかに見えなくなるのに我慢できなかった)