1-1. 語順と語形変化
1-1-1. 語順
「ジョージはリンゴを知っている」を英語では次のように言う。
George ジョージは |
knows 知っている |
Ringo. リンゴを |
1-1-2. 語形変化
もう一つ注意すべきことは語の形である。
(a) I love her very much.(私は彼女が大好きだ) |
(b) And she loves me, too.(そして、彼女も私が好きだ) |
この2つの文を比べてみると、日本語では同じ「私」なのに、英語の場合はIやmeになっている。また動詞はloveやlovesになっているが、英語ではこのように主格か目的格かなど、文中における働きなどによって語の形が変わる。
1-2. 主部と述部
1-2-1. 主語と述語動詞
文にはふつう主題になる部分「…が、…は」と、それについて「…する、…である」と述べる部分とがある。前者を主部(Subject)、後者を述部(Predicate)という。
主部の中心となる語を主語(Subject Word)という。述部の中心となる語を述語動詞(Predicate Verb)という。
I | am a high school student. | |
My father | works in a factory. | |
Mr. Nakaka | will come up to Tokyo tomorrow. | |
The principal's office | is on the second floor. | |
He and I | are cousins. | |
All of us | sang and danced till late at night. |
(a)の文ではIが主部であり主語でもあるが、(b)ではmy fatherが主部でfatherが主語である。(c)のwill comeのように、助動詞(will)+動詞(come)になっている場合には、これらを一緒にして述語動詞とみなす。(e)では2つの主語がandで結ばれて1つの主部となり、(f)では2つの述語動詞がandで結ばれて述部を構成している。
主語になるものは名詞・代名詞とその相当語句である。また、主部全体を主語ということもある。前例(b)のMy fatherや(d)のThe principal's office全体も主語である。
1語でも文をなす場合がある。Yes.(はい), Thanks.(ありがとう), Fire!(火事だ!)などである。これを文相当語(Sentence Word)と呼ぶことがある。
1-2-2. 主語の位置
これまで挙げた例文では、「主語+述語動詞」の順序になっている。これらを平叙文というが、次のような場合には主語が文中や文尾に移る。
Is | she | a Japanese? | <疑問文> |
How old are | you | ? | <疑問文> |
How tall | he | is! | <感嘆文> |
1-2-3. 主語の省略
1-2-3-1. 命令文では主語のYouはふつう省略し、動詞の原形で始まる。
Come in, please.(どうぞお入りください) |
Turn off the light.(灯りを消しなさい) |
Any Time At All | Don't you be sad |
---|---|
Blue Jay Way | Please don't you be very long |
裸足の女神 (B'z) |
Don't you cry My 裸足の女神よ |
1-2-3-2. 会話文・日本語文のわかりきった主語(主にI)は省略することが多い。
(I) Thank you.(ありがとう) |
(I'll) See you later.(またあとでね) |
(I) Went to bed at eight.(8時に寝た) |
1-2-4. 述語動詞とその種類
述語動詞になるものはbe動詞、have動詞、一般動詞の3つの動詞および、それらと助動詞との組み合わせである。
1-2-4-1. be動詞
I am from Kyushu.(私は九州の出身です) |
You are very kind to say so. (そういってくださって親切な方ね) |
She is a tall, blond(e) girl.(彼女は背の高い、金髪の女性です) |
They are all good students.(彼らはみんなよい学生です) |
It is an empty bottle.(それは空き瓶です) |
数 | 現在形 | 過去形 | 過去 分詞形 |
現在 分詞形 |
|
---|---|---|---|---|---|
単数 複数 |
I am We are |
I was We were |
been | being | |
単数 複数 |
You are | You were | been | being | |
単数 複数 |
He(She,It) is They are |
He(She,It) was They were |
been | being |
上の表にあるように、主語の人称や数によって動詞は変化する。話し手(I)と話し手を含めた人達(we)を1人称、話し相手を2人称という。それ以外の話題にのぼるすべての人や物(he, she, it, theyおよびそれらが代名詞に置き換えられる前の元々の名詞)を3人称という。
1-2-4-2. have動詞
a | I have a lot of money.(私はお金をたくさん持っています) |
---|---|
b | I have three older brothers.(私には兄が3人いる) |
c | I have a lot of friends in London.(ロンドンに私の友達がたくさんいます) |
d | Our school has about four hundred students.(私達の学校には約400人の学生がいる) |
e | Mother has a bad cold.(母はひどい風邪をひいています) |
f | We have five English lessons a week.(私達は週5時間英語の授業を受ける) |
g | We had snow the day before yesterday.(おととい雪が降った) |
have動詞も、人称、数、時制などによって次の表のように変化する。
数 | 現在形 | 過去形 | 過去 分詞形 |
現在 分詞形 |
|
---|---|---|---|---|---|
単数 複数 |
I have We have |
I had We had |
had | having | |
単数 複数 |
You have | You had | had | having | |
単数 複数 |
He(She,It) has They have |
He(She,It) had They had |
had | having |
このhave動詞は、1-2-4-3.で述べる一般動詞の1つとみなすことができる。したがって、一般動詞として扱ってもよい。
haveは「持っている」とは限らない。例文(d)のOur schoolのように無生物が主語になる構文は英語に多いので、訳す場合に注意が必要である。
1-2-4-3. 一般動詞
I usually watch television after supper.(私は夕食後たいていテレビを見ます) |
We eat lunch in the school cafeteria.(私達は学校の食堂で昼食をとります) |
The store opens at nine o'clock.(その店は9時開店です) |
一般動詞も、人称、数、時制によって語形が変化するが、詳しくは第9章 動詞で学ぶ。
1-2-4-4. 助動詞
助動詞は、平叙文ではふつう動詞の前に置く。will, shall, can, may, mustなどがあり、「未来、能力、許可、義務」などを表す。
また、進行形や受け身に使われるbe, 否定や疑問に使われるdo, 完了形に使われるhaveも助動詞である。
A | She will call on us one of these days.(彼女は近いうちに私達を訪ねてくるでしょう) She can play the piano well.(彼女はピアノを弾くのがうまい) You may go home now.(あなたはもう帰っていいよ) |
---|---|
B | Stars are seen only at night.(星は夜だけ見える) I did not eat anything yesterday.(昨日は何も食べなかった) I have lived here for ten years.(私は10年間ここに住んでいる) |
以上、述語動詞の種類を簡単に説明したが、詳しくは第9章 動詞、第10章 助動詞で扱う。
1-2-5. 補語と目的語
今まで主部の中心部である主語と、述部の中心である述語動詞について見て来たが、述部を構成するものにはほかに補語(Complement)と目的語(Object)がある。
(a) | I am a student. |
---|---|
(b) | I have a pen. |
(a)のa studentは主語(I)の意味を補っている補語である。補語になるのは普通、名詞、代名詞、形容詞とその相当語句である。
また、(b)のa penは動詞haveの対象となる語(何を)で目的語である。目的語になるのは名詞・代名詞とその相当語句である。述語動詞のあとに補語が来るか、目的語が来るかは、動詞によって決まる。
(a) | I am an American.<補語> |
---|---|
(b) | I saw an American on the street.<目的語> |
(a)と(b)を比べてわかるように、同じan Americanという語でも、(a)は主語の意味を補っているので、I=an Americanという式が成り立つ。一方、(b)ではI≠an Americanである。このように、補語の場合は、主語=補語の関係が成り立つが、目的語の場合は成り立たない。
I am happiness.はどうでしょう。「ぼくは学生だ」はI am a student.といえるが、「ぼくは幸福だ」を英訳する時に、「幸福」はhappinessだからといって、I am happiness.と訳してはいけない。「私」という人間は「幸福」という抽象的なものになることはない(I≠happiness)。幸福な状態(happy)になるのである。つまり、I am happy.が正しい文である。「私は病気です」も、I am illness.ではなく、I am ill.である。
1-2-6. 修飾語
今まで見て来た主語(S), 述語動詞(V), 補語(C), 目的語(O)を文の主要素という。これらの文の主要素を修飾する語句を修飾語句(modifier)といい、これらも文中で重要な働きをする。修飾語句(M)となるものは、形容詞・副詞などと、それらの働きをする句・節である。
(My) sister 主部 |
plays 述部 |
(the) guitar 述部 |
(every evening) 述部 |
(That) (yellow) cap (on the desk) 主部 |
is 述部 |
(my) brother's. 述部 |