12-1. 関係代名詞とその種類
先行詞の種類 | 主格 | 所有格 | 目的格 |
---|---|---|---|
人 | who | whose | whom |
物 | which | whose [of which] | which |
物・動物・ 「人+動物」, 特殊制限のもの |
that | that | |
先行詞を含む | what | what |
ビートルズのYesterdayに見る関係代名詞の省略
関係代名詞が主格補語になっている場合、すなわち、主語の状態を説明している節を誘導している場合、省略されることもあります。例えば、
She is not the woman she used to be.(彼女は昔の彼女ではない)の文は、She is not the woman which [that] she used to be.のwhichまたはthatが省略されています(ちなみにこの関係代名詞は補語であって目的語ではありません)。ビートルズのYesterdayにおいては、
I'm not half the man I used to be
というのがありますが、元々はI'm not half the man (which [that]) I used to be.で、主格補語のwhichまたはthatが省略されていると考えることができます。先行詞が人なのだからwhich [that]ではなくてwhoではないかと思われるところですが、この文のmanは人間としてのmanではなくて、manとしての性質を示しています。つまり、かつての自分ではないということです。それゆえ「人」ではなく「物」と同じ扱いでwhich [that]を使います。もしカンマが直前にあったらthatは使えないので注意が必要です。ちなみに、ここで出て来ている not half は「半分もない」という意味です。
12-2. 関係代名詞の用法
12-2-1. 先行詞が「人」の時 who, whose, whom
関係詞はそれが誘導している節の中における働きによって格が変化します。
a. The man (who is) reading a newspaper is my father.(新聞を読んでいる人が私のおやじです)<主格>
※ 関係代名詞+be動詞は省略可能。
Girl | Is there anybody |
---|---|
I Saw Her Standing There | So how could I dance with another when I saw her |
b. This is the man whose father was a famous dentist. (こちらはお父さんが有名な歯科医だった方です)<所有格>
c. The man (whom) you met at the station is here. (あなたが駅でお会いになった男の人はここにいらっしゃいます)<目的格>
これらの使い分けを次の表でまとめてみましょう。
a | The man is my father. He is reading a newspaper. |
---|---|
b | This is the man. His father was a famous dentist. |
c | The man is here. You met him at the station. |
関係代名詞に置き換えられる人称代名詞の格が、関係代名詞にもそのまま引き継がれます。
whomは形式張った言い方であり、代わりにwhoを用いるか、省略されることが多いです。
Those who〜「〜」の人々という文語的な言い方があります。この表現のthoseはwhoの先行詞で、人々という意味です。
Those who arrived late could not see the prince.(遅れて到着した人々は皇太子を見ることができなかった)
12-2-2. 先行詞が「人」以外の「動物」や「物」の時 which, that, of which, whose
a. Food which (that) is prepared by my mother is always good.(母が作る食べ物はいつも美味しい)<主格>
b. This is a doll (which [that]) she made for herself. (これは彼女が自分で作った人形です)<目的格>
c. Use words the meaning of which [whose meaning] is clear to you. (意味がよくわかっている言葉を使いなさい)<所有格>
これらの使い分けを次の表でまとめてみましょう。
a | Food is always good. It is prepared by my mother. |
---|---|
b | This is a doll. She made it for herself |
c | Use words. The meaning of them is clear to you. または Their meaning is clear to you. |
主格、目的格はwhich, thatいずれも使われます。一般にアメリカ英語ではthat, 正式の論文や演説などではwhichがよく使われます。
所有格はwhose〜, 〜of whichのいずれもよく使われます。物の場合でもwhoseが好んで使われる傾向にあります。
12-2-3. thatが使われる先行詞
1. 先行詞に最上級や、the, only, first, allなどの語句が付くとき:
a. This is the only dictionary (that) I have.(これは私が持っている唯一の辞書です)
注:whichかwhoを使うこともないとは言えません。
b. The first subject that attracted my attention is pollution. (最初に私の注意を引いた問題は公害です)
c. He is the heaviest sumo wrestler that ever lived. (彼は現在までのうちで最も重い力士だ)
2. 先行詞が「人と物」のとき:
The driver and his car that dived into the river was recovered.(川の中に落ちた人と車が発見された)
3. 前にwho, whichなどの疑問詞がくるとき:
Who is the gentleman that got injured in the accident.(その事故で怪我をされた紳士はどなたですか)
※ thatに所有格はないので注意。
12-2-4. 先行詞を含むwhat
ここでは先行詞を含む関係代名詞whatについて見てみましょう。ビートルズ全詩集(改訂版)(内田久美子 訳、2000年)で関係代名詞whatが使われている歌詞を数えてみました。けっこうたくさん使われていることがわかります。ここでは独自に和訳しました。
Yes It Is | Remember what I said tonight(僕が今夜言ったことを思い出して) |
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I'm A Loser | I'm not what I appear to be(僕は見かけとは違う) |
I Don't Want To Spoil The Party |
There's no fun in what I do if she's not there(もし彼女がそこにいなかったら僕がすることは何も楽しくない) |
What You're Doing | What you're doing to me(君が僕にしていること) |
I Need You | So come on back and see just what you mean to me(僕に取とって君がどれほど大切なのか確かめるために戻ってきて) |
Another Girl | I ain't no fool and I don't take what I don't want(僕は馬鹿ではないので欲しくない物は取らない) |
Tell Me What You See | Tell me what you see(見えるものを教えて) |
Tell Me What You See | What you see is me(君に見えるものは僕だ) |
Drive My Car | Asked the girl what she wanted to be(僕はその少女が何になりたいのか尋ねた) |
Nowhere Man | Just sees what he wants to see(見たいものしか見ようとしない) | Love You To | what you've got means such a lot to me(君が持っているものは僕にはとても大事なんだ) |
She Said She Said | I know what it's like to be dead(僕は死とはどんな感じか知っている) |
The Fool On The Hill | They can tell what he wants to do(彼が何をしたいのか彼らは言うことができる) |
Martha My Dear | look what you've done(君がしたことを見てごらん) |
I'm So Tired | I don't know what to do(どうしていいかわからない) |
Piggies | They don't care what goes on around(彼らは回りで起こっていることを気にしない) |
Revolution | We're all doing what we can(我々はみんなできることをやっている) |
Honey Pie | And if she could only hear me, this is what I'd say(もし彼女が僕の言うことを聞くことさえできれば、僕はこう言うだろう) |
It's All Too Much | what I do is all too much(僕のすることは行き過ぎなのだ) |
上記のように、whatはかなりたくさん使われています。
12-2-4-1. 関係代名詞whatの一般的用法
Show me what you have in your pockets.<showの目的語>
(ポケットに入っているものを私に見せなさい)
この文ができるまでを下記のa→b→cの流れで変化したと考えれば理解しやすいです。
a | Show me the things. You have them in your pockets. |
---|---|
b | Show me the things which you have in your pockets. |
c | Show me what you have in your pockets. |
関係代名詞whatに導かれる節は、上の例のように目的語になるほか、主語や補語にもなります。
What he said is true.<主語>
(彼が言ったことは本当だ)
This is what we were looking for.<補語>
(これが私達が探していたものです)
whatの導く節は名詞節です。who, which, thatなどの関係代名詞の導く節は名詞(先行詞)を修飾する形容詞節ですが、whatを導く節は名詞節です。
12-2-4-2. whatの慣用表現
a | what is called(what we [you] call)「いわゆる」 His brother is lost in what is called [what we call] reggae music.(彼の弟はいわゆるレゲエ音楽のとりこになっている) |
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b | what is more「そのうえ」「おまけに」 He was a great politician and, what is more, a good poet.(彼は大政治家で、その上、立派な詩人だった) |
c | what I was「かつての私」 I am not what I was.(私はもう昔の私ではない) |
d | what with A and [what with] B「AやらBやらで」 What with the wind and (what with) the rain, our trip was spoiled.(風やら雨やらで、私達の旅行は台無しになった) |
e | A is to B what [as] C is to D「AとBの関係はCとDの関係に等しい」 Leaves are to the plant what [as] lungs are to the animal.(葉と植物の関係は、肺と動物の関係と同様である) |
上記cについては、似たような意味の歌詞がビートルズのYesterdayにあります。
Yesterday | I'm not half the man I used to be. |
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このI'm not half the man I used to beにwhoを補うと、I'm not half the man who I used to beとなり、ここでthe man whoをwhatに変えると、I'm not half what I used to be、つまり「私はまったくかつての私ではない」となります。ここでnot halfは「とても…どころではない」、「少しも…でない」という意味になります。しかし、ここのwhoはthat [which]であるという説もあります(12-3-2-3参照)。どちらでも良いような気もしますが、いずれにしても省略するなら関係ないですね。
12-2-4-3. 関係形容詞のwhat
whatには次のような関係形容詞といわれる用法があります。
He saved what little money he earned(=all the little money that he earned).
(彼はわずかではあるが、稼い金は全部貯金した)
12-2-4-4. 関係代名詞のwhatと疑問詞のwhatの判別
a | Tell me what you have in your hand.(手に何を持っているのか言いなさい) |
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b | Give me what you have in your hand.(手に持っているものをよこしなさい) |
aの方のwhatは疑問詞、bの方は関係代名詞です。動詞がtellとgiveでこのように違いが出ます。意味で判断することになります。
12-2-4-5. 先行詞が人の場合のwhich [that]
先行詞が「人」でも、観念的に扱われている場合や、人そのものよりも「地位」、「職業」、「性格」などを表す場合は、which [that]を用います。
a | The people engaged in making dictionaries are obviously people that are deeply attracted to words.(辞書作りに従事している人達は、明らかに言葉に深く惹き付けられた人達である)<観念的な人> |
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b | He is no longer the timid fellow which he used to be.(彼はもはや、かつての臆病者の彼ではない) この関係代名詞whichは主格補語なので省略することもできます。 |
12-3. 関係代名詞の注意すべき用法
ここでは関係代名詞の前置詞との組み合わせにおける注意点や、関係代名詞の省略について、いくつかの例をもとに学びます。ビートルズの楽曲のYesterdayでも、関係代名詞のthat [which]が省略されています。それは主格補語の関係代名詞だからです。
Yesterday | I'm not half the man (that) I used to be. |
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12-3-1. 関係代名詞と前置詞
関係代名詞が前置詞の目的語になって「前置詞+関係代名詞」の形をとることがあります。
The house in which I live is a good one.
(私の住んでいる家は立派な家です)
この文ができるまでを下記のa→b→cの流れで変化したと考えれば理解しやすいです。
a | The house is a good one. |
---|---|
b | I live in that house. |
c | The house in which I live is a good one. (ここでoneは代名詞でthe houseを指しています) |
ほかにもいくつか例文を見てみましょう。
There are several points on which I am still in the dark.
(まだよくわからないことが数点ある)←(on the points)
The wardrobe from which I took out your coat was open.
(あなたの上着を取り出した箪笥は開いていた)←(from the wardrobe)
関係代名詞thatには「前置詞+that」の用法はありません。
また、前置詞の目的語が人の場合、「前置詞+whom」となりますが、口語ではwhoを用い前置詞が後に置かれることがあります。
This is the man of whom I spoke yesterday.(こちらが私が昨日お話しした方です)
または、This is the man I spoke of yesterday.
のように主格補語の関係代名詞whoは省略されることも多いです。(第25章 冒頭の例文参照)
12-3-2. 関係代名詞の省略
12-3-2-1. 関係代名詞が動詞の目的語になっているとき
関係代名詞が動詞の目的語になっているとき、口語では関係代名詞を省略することが多いです。
a | This is the newspaper I read every morning. (これが私が毎朝読む新聞です)<whichの省略> |
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b | The detective I know well owns a jalopy. (私のよく知っている刑事はポンコツ車を持っている)<whomの省略> |
c | All I have to do is (to) study. (今私のやらなければならないことは勉強だけだ)<thatの省略> ※ ( )内のtoは省略して原形不定詞にしてもよい。ビートルズの「Any Time At All」には「Any Time At All, all you gotta do is |
Any Time At All | Any time at all, all you gotta do is (to) call. |
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Thank You Girl | And all I gotta do is (to) thank you girl |
All I've Got To Do | All I gotta do is (to) call you on the phone |
Act Naturally | And all I've got to do is (to) act naturally |
ビートルズの楽曲のタイトル All You Need Is Loveも、歌詞のLove is all you needもthatが省略されています。
また、Allではなくeverythingが用いられている例もあります。
I'm Happy Just To Dance With You | Just dance with you is everything (that) I need |
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12-3-2-2. 「前置詞+関係代名詞」のとき
「前置詞+関係代名詞」のときも口語で関係代名詞が省略される。ただし、語順が変わるので注意する(前置詞は元の位置に戻る)。
a | This is the book I referred to a few days ago. (これが私が先日引き合いに出した本です)<whichの省略> This is the book to which I referred a few days ago.ではwhichは省略できないので注意。 |
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b | The woman you are staring at is my teacher. (あなたがじりじろ見ている女の人は私の先生です)<whomの省略> The woman at whom you are staring is my teacher.ではwhomは省略できないので注意。 |
関係詞は修飾語句の始まりを表す記号のようなものです。例えば、
The man who is reading a newspaper is my uncle.
の文のwhoをとってみると、The man is reading a newspaper is my uncle.
となり、おかしな文章になります。関係詞はこのように文の主要素と修飾語句の関係を明らかにする働きをします。したがって、関係代名詞の省略も原則的にはこのような混乱が生じない場合に限られます。
12-3-2-3. 関係代名詞が目的格以外で省略される場合
1 | 関係代名詞の後にThere is〜がくる場合、関係代名詞は主格でもよく省略されます。 This is the best dictionary (that) there is in the library. (これが図書館に備え付けてあるうちで最も良い辞書です)<thatの省略> |
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2 | There is〜, Here is〜の文の主語(名詞・代名詞)を関係詞節が修飾する場合、関係代名詞が主格でも省略されることがあります。There is someone at the door (who) wants to see you. (ドアのところにあなたに会いたいという人がいます)<whoの省略> → ビートルズのIn My Life |
3 | 関係代名詞の後にI think, you believeなどの挿入句が入る場合、関係代名詞が主格でも省略されることがあります。I met a man (who) I thought was a preacher. (私が牧師かと思った人に会った)<whoの省略> List three facts (that) you think should be included in your history. (あなたの履歴に入れるべきと思う事実を3つ挙げなさい)<thatの省略> |
4 | 関係代名詞が主格補語になっている場合、省略されることもあります。He is not the man (that) he used to be. (彼は昔の彼ではない)<関係代名詞の主格の省略> ※ 主格補語なのでwhomではありません。本来ならwhoになりそうですが、一人の男としての性質を示しているのでwhoではなくwhichかthatになるという考え方もあります(12-2-4-5参照)。でも、どちらにしても省略するなら関係ないともいえます。 → ビートルズのYesterday |
上記2については、ビートルズのIn My Lifeの歌詞の中にも関連する箇所があります。
In My Life | But of all these friends and lovers, there is no one |
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上記4については、ビートルズのYesterdayの歌詞の中にも関連する箇所があります。
Yesterday | I'm not half the man |
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12-3-2-4. 「自動詞+前置詞」が1つの他動詞の働きをしている場合、「前置詞+関係代名詞」の形をとらないので、目的格の関係代名詞を省略可
「自動詞+前置詞」が1つの他動詞の働きをしている場合、「前置詞+関係代名詞」の形をとらず、「自動詞+前置詞」のままがふつうである。
1 | This is the very book (that) I have been looking for. (これはまさに私が探し求めていた本です)<thatの省略は可能> |
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12-4-1. 関係代名詞の限定用法(制限用法)
これまで学んできた関係代名詞の用法はすべて限定用法(制限用法)です。つまり、先行詞と関係代名詞の間がコンマ(,)で区切ってありませんでした。この限定用法ではwhat以外のすべての関係代名詞は形容詞的に先行詞である名詞にかかっていきます。
ところで、先行詞にはaがつくのでしょうか。それともtheがつくのでしょうか。「制限」という言葉のイメージから、関係代名詞の先行詞はtheがつきそうな気がします。しかし、実際にはaもtheも使われます。その理由は、関係詞で制限されたからといって必ずしもそのものがそれ一つだけとは限らないからです。そのような場合はaが使われます。
a | There I met a boy who spoke Japanese.(その土地で日本語をしゃべる少年に会った)←他にもしゃべれる少年がいるということ! |
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the | A week later I found out the boy who spoke Japanese.(一週間後、日本語をしゃべるその少年を探し当てた)←すでに話題に出た少年のこと! |
a | This is a novel which [that] I like.(これは私が好きな小説です)←いくつかあるうちの一つ |
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the | This is the novel which [that] I like best.(これが私が一番好きな小説です)←この小説一つだけ |
このように、aかtheかは関係詞節で判断すればよいというわけではなく、むしろ文脈で判断すべきということになりそうです。
12-4-2. 関係代名詞の継続用法(非制限用法)
限定用法(制限用法)に対して、継続用法(非制限用法)というのがあります。これは、先行詞を修飾するのではなく、先行詞に関して追加説明をする用法です。通常は関係代名詞の直前にコンマ(,)があります。次の2つの文を比較してみましょう。
a | He showed me a picture (which [that]) he had taken there.(彼はそこで撮った1枚の写真を見せた)<限定用法> |
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b | He showed me a picture, which he tore into pieces afterward.(彼は1枚の写真を見せて、そのあとそれを引き裂いた)<継続用法> |
継続用法のある関係代名詞はwho, whose, whom, whichです。that, whatにはそのような用法はありません。who, whose, whom, whichの使い方は限定用法のときと同じですが、継続用法の関係代名詞はどのような場合も省略することはできないことは覚えておきましょう。
継続用法の関係代名詞は、「接続詞 + 代名詞」で置き換えて考えることができます。接続詞はand, but, asなどです。
a | I met Taro, who [and he] told me the news.(太郎に会ったら、太郎が私にその話を教えてくれた) |
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b | Jiro lent me 10 dollars, which I lost in the train.= Jiro lent me 10 dollars, but I lost it in the train.(次郎は私に10ドル貸してくれたのだが、私はそれを電車の中でなくしてしまった) |
c | The famous tower, whose [as its] top was buried in the fog, was not in full view.(その有名な塔は、てっぺんが雪で隠れていたので、全体は見えなかった) |
d | John, whom you saw at the party the other day, is going to marry Yoko next month.(君がこの前パーティーで会ったあのジョンは来月ヨーコと結婚するんだ) ここで、英語では固有名詞に限定用法の関係代名詞は付かないことに注意します。ジョンはジョンであるので、このジョンは世界に1人しかいないため、例えば、「君が会ったジョン」とか、「そうでないジョン」とか限定のしようがないのです。 |
継続用法のwhichには関係形容詞としての用法もあります。
It rained all day, during which time I stayed indoors.
(一日中雨で、その間ずっと屋内にいた)
12-4-3. 前の分の一部または全体を受けるwhich
継続用法のwhichには前の文の一部または全体を先行詞とする用法があります
a | The doctor said my brother would be perfectly well and healthy again, which he indeed is.(医者は兄が再びすっかり良くなって健康になると言ったが、全くその通りになっている)<下線部が先行詞> |
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b | He said he saw me there, which (= but it) was a lie.(彼はそこで私を見たと言ったが、嘘であった)<下線部が先行詞> |
12-4-4. 継続用法でカンマ(,)がない場合
関係代名詞の継続用法でカンマ(,)が関係代名詞の前にない場合もあります。この場合は、文脈から判断することになります。
a | She had changed into a white summer dress and carried a big hat which she swung idly in one hand from a blue ribbon.(彼女は純白のサマードレスに着替えて、大きな帽子を携えたのだったが、それを彼女は青いリボンのところを片手に持ってただぶらぶらと下げていた) |
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12-5. その他の関係代名詞
12-5-1. as「そのようなことは(を)」
次のasは関係代名詞で、その先行詞は前文全体です(常に継続用法)。
a | He came late today, as was usual [often] (the case) with him.(いつでも[しばしば]そうなのだが、彼は今日も遅れてきた)<wasの主語> |
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b | He was a Southerner, as I knew from his accent.(彼は南部出身の人だった。その訛からわかったことだが)<knewの目的語> |
上の2文ともas〜を文頭へ出すことができる。これは関係代名詞としてのasの特徴といえる。
1 | He came late today, as was usual the case with him. As was usual the case with him, he came late today. |
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2 | He was a Southerner, as I knew from his accent. As I knew from his accent, he was a Southerner. |
3 | He married her, as was natural. As was natural, he married her. (当然のことだが、彼は彼女と結婚した) |
限定用法の関係代名詞 as
the same 〜 as…;such 〜 as…;as 〜 as…;so 〜 as…のように、相関的に用いられるasを限定用法の関係代名詞とみなすことができます。aは同種類のもの、bではthatになっているので全く同じものになります。
a | This is the same camera as I lost. (これは私がなくしたのと同じ(種類の)カメラだ) |
---|---|
b | This is the same camera that I lost. (これは私がなくしたカメラだ) |
12-5-2. but「〜でないこと(人)はない」(= that 〜 not)
次のような用法のbutは関係代名詞である。
a | There is no rule but has some exceptions. (例外のない規則はない)<hasの主語> |
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b | There is no one but wishes to improve his ability. (自分の能力をさらに高めたいと思わない者はいない)<wishesの主語> |
c | No-One But You (Only The Good Die Young)という曲はQuenのBrian Mayが中心になってQueenとして1997年に発表した。Freddie Mercuryの追悼のために作った楽曲のタイトル。 |
このように関係代名詞butは前文に必ず否定があるときに用いられるので、二重否定になります。二重否定は肯定になります。ただし、口語では一見二重否定に見えるものでも、肯定にならず否定の強調になる場合があります。例えば、ビートルズの「Oh! Darling」という楽曲では、I'll never do you no harmという歌詞があります。「Something」ではI don't need no other loverという歌詞があります。これらは二重否定ではなく、「決して君を傷つけたりはしない」、「ほかの恋人など僕にはいらない」という意味になるのでややこしいです。文脈で判断することになると思います。でも、受験英語ではないと思います。
12-5-3. than
関係代名詞のthanは比較級と関連して用いられます。
a | Nothing is more precious than time. (時間ほど貴重なものはありません |
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12-5-4. 複合関係代名詞 whoever, whichever, whateverなど
whoever, whomever, whichever, whateverなど、who, whom, which, whatに-everが「〜の者は誰でも」、「〜の物は何でも」などの意味を表します。whatと同様、先行詞を含む関係代名詞で、名詞節を導きます。
a | He helps whoever [any one who] is in need of help.(彼は誰でも援助の必要な人を援助します)<主格> |
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b | You can give it whomever [any one whom] you like.(誰でもあなたの好きな人にそれをあげてよい)<目的格> |
c | Whatever I am teaching is not English conversation.(教えているのは何であるにせよ、それは英会話ではない)<目的格> |
d | You may take whichever you wish to eat.(どちらでもあなたの食べたい方をとってよい)<目的格> |
whoeverとwhomeverの使い分けは、それが導く節の中での働きによる。つまり上の例文(a)では-everはis in needの主語なので主格のwhoeverが使われています。一方、(b)ではlikeの目的語なので目的格のwhomeverが使われています。導く節以外の部分には影響されないことに注意する。
12-5-5. 譲歩の副詞節を導く複合関係詞
a | Whoever says [may say] so, I won't give up.(たとえ誰がそう言っても私は諦めません) |
---|---|
b | Whatever happens, I will go.(たとえ何が起ころうとも私は行く) |
c | Whichever he choose, the result will be the same.(どちらを彼が選んだにしても、結果は同じだろう) |
d | Whomever you quote, I will not change my mind.(誰の言葉を引用しても私の決心は変わりません) |
12-6. 関係副詞
関係副詞は、関係代名詞と同様に修飾節を名詞につなぐ役目をする。
This is the house where Hideyo Noguchi was born.(これは野口英世が生まれた家です) |
上の文ではwhereが関係副詞である。この文を関係代名詞と同じ要領で分けて考えると、下表のようになる。
a | This is the house.(これは家です)<wasの主語> |
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b | Hideyo Noguchi was born here.(野口英世はここで生まれました)<hereは副詞> |
c | aとbを合わせると、 This is the house where Hideyo Noguchi was born.(これは野口英世が生まれた家です)<whereは関係副詞> |
場所を表す副詞hereが場所を表す関係副詞whereになっていることに注意。また、上の場合、関係副詞によって導かれる節は、先行詞である名詞を修飾するので形容詞節である。
ビートルズの歌詞の中に関係副詞whereが使われている箇所を見つけました。
Eleanor Rigby | Eleanor Rigby picks up the rice in the church where a wedding has been |
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Think For Yourself | And go where you're going to |
All You Need Is Love | That isn't where you're meant to be |
Get Back | Get back to where you once belonged |
12-6-1. 関係副詞の種類と用法
関係副詞には次の4つがあります。
関係副詞 | where | when | why | how |
---|---|---|---|---|
先行詞 の種類 |
場所 | 時 | 理由 | ない |
関係副詞には先行詞のない用法があるので注意が必要です。
12-6-1-1. whereの先行詞は「場所」
1 | Is this the town where he used to live?(ここが彼がかつて住んでいた町ですか) |
---|---|
2 | This is where I found the book.<先行詞のない用法> |
先行詞がある場合、whereは省略されることがあります。
Is this the town he used to live in?(ここが彼がかつて住んでいた町ですか) |
先行詞がa momentの場合にwhereが使われることがあります。この場合は、「時間」なのだけれども「場所」でもある→「時点」とみなしていると考えれば納得できるのではないでしょうか(あくまでも私の解釈です)。a momentをan occasion(場面、場合)という風に考えればよいと思います。
Get Back | Get back to (the place) where you once belonged(お前がかつていた場所に帰れ) |
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12-6-1-2. whenの先行詞は「時」
1 | July and August are months when the weather is hottest. (7月と8月は最も暑い月です) |
---|---|
2 | Soon the time will come when we need not work even 40 hours a week.<先行詞と離れている用法> (週40時間すら働かずに済む時代がまもなくやってくるだろう) |
3 | Monday is when I am free.<先行詞のない用法> (月曜日は私は暇だ) |
12-6-1-3. whyの先行詞は「理由」
a | Tell us the reason (why) you didn't come yesterday. (あなたが昨日来なかった理由を言いなさい) ※先行詞がある場合はwhyも省略されることが多い。 |
---|---|
b | That's why she cried for help.<先行詞のない用法> (そういうわけで彼女は助けてと叫んだのです) |
ビートルズの「Hello Goodbye」の歌詞に先行詞のない関係副詞whyの用法があります。
Hello Goodbye | I don't know why you say goodbye |
---|
12-6-1-4. howは「方法」を表すが、先行詞はない
That's how it all happened. (そんなふうにそれは起こったのだ) |
このhowに代わって、the wayが用いられる例も多い。これらは、the way howのうち、the wayとhowのどちらか一方が省略されたものと考えることができる(そういう意味では「howに代わって、the wayが用いられる」という表現はちょっと違和感があります)。同様にthe time whenのうち、the timeとwhenのどちらかを省略することができる。the place whereもthe placeとwhereのどちらかを省略することができる。the reason whyもthe reasonとwhyのどちらかを省略することができる。
a | There is the way I did it. (こんなふうに私はそれをしました) |
---|---|
b | the wayは文語では次のようにthe way in which〜の形で使われることがある。The teacher should find the best way in which his pupil can form a desirable speech habit. (教師は自分の生徒が望ましい話し方の習慣を形成し得る最善の方法を見つけるべきである) |
c | 上記a をbの形で書き換えると、There is the way in which I did it.となる。 |
洋楽でも、ビリージョエルの「素顔のままで」は「Just The Way You Are」ですね。私の調べたところでは、ビートルズの歌詞の中にもwayが出てくる歌詞はけっこうあります。
曲名 | 歌詞1行だけ |
---|---|
I Saw Her Standing There |
And the way she looked was way beyond compare |
I'm Lookin Through You | You're thinking of me (in) the same old way |
We Can Work It Out | try to see it (in) my way |
We Can Work It Out | while you see it (in) your way |
Help | I never needed anybody's help in any way |
It's Only Love | Why should I feel the way (how) I do |
Something | Something in the way (how) she moves attracts me like no other lover |
The Ballad of John and Yoko |
The way (how) things are going |
Fixing A Hole | I'm painting the room in a colorful way |
12-6-1-5. 関係副詞=「前置詞+関係代名詞」への書き換え
関係副詞はhowを除いてすべて「前置詞+関係代名詞」で書き換えることができる。しかし、これらの形が実際に使われることはほとんどない。
関係副詞 | 前置詞+関係代名詞 |
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where | in which |
when | at which on which |
why | for which |
12-6-1-6. 関係副詞のthat, 先行詞が「場所」以外のwhere
① thatがwhere, when, why, howの代用として用いられることがある。
a | whereの代用をする例は少ない。 |
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b | He said so the last time (that) I saw him.<whenの代用> (この前会ったとき、彼はそう言ったのです) |
c | The day (that) we went to the concert was Saturday. (私達が音楽会に行ったのは土曜日でした)<whenの代用> |
d | Do it the way (that) she did. (彼女がやったようにそれをしなさい) howの代用の時はthe way (that)の形で使われる。 |
e | What is the reason (that) we were born into this world.<whyの代用> (私達がこの夜に生まれてきた理由は何でしょう) |
※ 上の例b〜eのthatは省略されることが多い。
関係副詞のthatが省略されることが多いのであれば、もう関係副詞のthatを使うことは考えずに、(b) the time whenのうち、whenが省略されたもの、(c) the day whenのうち、whenが省略されたもの、(d) the way howのうち、howが省略されたもの、(e) the reason whyのうち、whyが省略されたもの、と考えれば実用上問題はないし、頭の中の整理が容易である。
② 関係副詞のwhereは「場所」以外に「立場・場合・状態」などいろいろな先行詞について用いられる。
a | We can count a lot of instances where we use a foreign language in our own country.(自国にいながら外国語を使う事例をたくさん数えることができる) |
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b | We'll have some activities where we'll have to use English.(英語を使う必要のある活動分野がいくつかあるだろう) |
c | That's (the point) where we disagree.(そこが私達の意見の合わない点なのです) |
whoeverとwhomeverの使い分けは、それが導く節の中での働きによる。つまり上の例文(a)では-everはis in needの主語なので主格のwhoeverが使われています。一方、(b)ではlikeの目的語なので目的格のwhomeverが使われています。導く節以外の部分には影響されないことに注意する。
12-6-1-7. 先行詞が「場所」、「時」なら例外なく関係副詞か
先行詞が「場所」、「時」、「方法」、「理由」であっても、関係詞が、その導く節の中で果たしている役割によっては、関係代名詞が使われることがある。いつでも関係副詞というわけではないので注意する。
a | This is the house (that) he built himself.<builtの目的語> →This is the house. He built it himself. |
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b | April in England is the month which is noted for its showers.<isの主語> (イングランド地方の4月はにわか雨で有名です) |
c | You can use English in a way which will very much satisfy your teacher. (先生をとても満足させるやり方であなたは英語を使うことができます)<will very much satisfyの主語> |
d | That was the reason (that) he had for not obeying her.<hadの目的語> (それが彼が彼女に従わなかった理由だった) |
12-6-2. 関係副詞の継続用法
関係副詞のうち、whenとwhereの2語に限って継続用法があります。関係代名詞の場合と同様、ふつう直前にコンマ(,)がある。継続用法にも先行詞のない用法があり、この場合、関係副詞に導かれる節は副詞節である。
1 | There was a big explosion about midnight, when the townspeople were fast asleep. (= There was a big explosion about midnight. The townspeople were fast asleep then.) (真夜中頃に大きな爆発があった。その頃町の人達は熟睡していた) |
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2 | I went into the room, where I found a girl sitting on my chair. (= I went into the room, and I found a girl sitting on my my chair there) (私は部屋に入った。そのとき私の椅子に女の子が腰掛けていた) |
3 | Later in the evening Ben was standing in his room at the window, when (= and then) his mother opened the door and stepped inside. (その晩もっと遅くなってからベンが自分の部屋の窓のところに立っていると、母親がドアを開けて中に入ってきた) ※ 先行詞を持たないwhenはその前の文に進行形、be going [about] to〜などのある場合が多い。また、whenの前のコンマはない場合もある。 |
4 | Where there is smoke, there is fire.<先行詞のない用法> (煙のあるところに火あり→火のないところに煙は立たぬ---諺) |
12-6-3. 複合関係副詞
when, where, howに-everを付けたものを複合関係副詞とよぶ。「譲歩」を示す副詞節を導く場合が多い。
a | Whenever (= (At) Any time when) I call him, he is out. (いつ彼に電話しても、そのたびに不在だ) |
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b | Sit wherever (= at [in] any place where) you like. (どこでも好きな場所に座りなさい) |
c | Whenever (= No matter when) you (may) go, you will find him at his desk. (いつ行ってみても、彼は机に向かっている)<譲歩節> |
d | Wherever (= No matter where) you (may) go, you will be welcomed. (たとえどこに行こうとも、あなたは歓迎されるだろう)<譲歩節> |
e | However (= No matter how) hard you (may) try, you can't catch a fly bird. (たとえどんなに一生懸命やってみても、飛んでいる鳥は捕まらない)<譲歩節> However (= No matter how) のあとに形容詞か副詞を伴うことが多い。 "However, …" のように、Howeverの直後にコンマ(,)がくると、「しかしながら」という文全体を修飾する副詞になる。副詞なので、文頭のみならず、", however."として文尾に置いたり、", however,"として、文の途中の適当な場所に置いたりできる。howeverはこのようにコンマがあるのとないのでは意味が全く異なるので注意する。 |
※ 譲歩節にmayを用いるのは文語的。
ビートルズの歌詞の中に「譲歩」を示す副詞節を導くHoweverが使われている箇所を見つけました。
Sexy Sadie | However big you think you are |
次は前置詞について見てみましょう。