22-1. 時制の一致
22-1-1. 時制の一致とは
文を過去形の動詞で始めたら、その動詞の影響の及ぶ範囲内は、過去または過去完了にしなければならない。これを時制の一致という。
He says [that] he is happy.(彼は幸せだと言っている) He said [that] he was happy.(彼は幸せだと言った) |
I think [that] he will come.(彼は来るだろうと思う) I thought [that] he would come.(彼は来るだろうと思った) |
I think [that] she was a teacher.(私は彼女が先生だったと思う) I thought [that] she had been a teacher.(私は彼女が先生だったと思った) |
主節の時制 | 現在 ⇒ | 過去 |
---|---|---|
従属節の時制 | 未来→ | 助動詞の過去形 |
現在→ | 過去 | |
現在進行形→ | 過去進行形 | |
現在完了→ 現在完了→ 過去→ |
過去完了 | |
現在完了進行形→ 過去進行形→ 過去完了進行形→ |
過去進行形 |
注意)時制の一致が行われるのは、大体上の例のような名詞節(主としてthatが導く)に限ると考えてよい。つまり、次に示すように形容詞節や副詞節には適用されない。
He painted several great pictures which are in the museum. (彼は(現在)美術館にある数点の傑作を描いた)<形容詞節> |
日本語の発想と表現の違い
He said he was happy.=「彼は幸せだと言った」 |
上の文をwasがあるからといって「彼は幸せだったと言った」とすると、「幸せ」な時が彼の発言時以前のこととなって、英文の内容を正しく伝えない。「彼は幸せだったと言った」に対応する英文は、He said he had been happy.である。上の文は「言った」時が「幸せである」わけなので、「彼は幸せだと言った」としなければならない。
このように、時制の一致の英文を日本語に訳す時は注意が必要である。
22-1-2. 時制の一致が適用されない場合
1 | 一般的な真理を内容とする時は現在形のまま The teacher taught us that the water boils at 100 ˚C.(水は100˚Cで沸騰すると先生は教えた) We were taught that practice makes perfect.(「習うより慣れよ」と教わった) |
---|---|
2 | 現在も変わらない習慣的事実を言うときは現在形のまま He said he takes a cold shower every morning.(彼は毎朝冷水シャワーを浴びると言った) |
3 | 歴史的事実を内容とする時は過去形のまま We learned that Columbus discovered America in 1492.(1492年にコロンブスがアメリカ大陸を発見したと習った) |
4 | 仮定法の文を内容とする時は仮定法の時制のまま He sighed that if he had enough funds, he would buy it.(十分資金があればそれを買うのに、と彼は嘆息混じりに言った) |
助動詞も時制の一致で過去形になる
1 | will→would, can→could, may→might He answered that he could not play tennis.(彼はテニスが出来ないと答えた) |
---|---|
2 | 過去形のない助動詞must, need (not), ought to, had better, shouldなどは、そのまま用いる。ただし、mustが「〜ねばならぬ」の意味のとき、had toとすることもある。 She said she must go home.(彼女は帰らなくてはと言った) He knew that the rumor must be true.(彼はうわさが本当に違いないことを知っていた) Father said I need not go.(お前は行かなくていいよと父が言った) |