こんにちは。熊の実です。
今からほぼ1年前の2016年3月、有名人が何人か亡くなりましたが、キース・エマーソン氏の前にジョージ・マーティン氏が3月8日に90歳で亡くなりました。2016年3月9日にYahoo!ニュースで出ていました。90歳は長生きといえるのではないでしょうか。ジョン・レノンは1980年で40歳だったので、もしジョンが今生きていたとしたら2017年現在で77歳になります。ジョージ・マーティン氏は、ビートルズのメンバーにとって親に近い年齢差だったわけですね。マネージャーのブライアン・エプスタイン氏はビートルズにとって親みたいなものだったのでしょうが、ジョージ・マーティン氏もそれに近いものがあったのではないでしょうか。ポールのソロアルバム「Tug Of War」でもプロデューサーを担当していて、ビートルズサウンドに回帰したと評されています。たぶん、私が「Tug Of War」が好きなのは、そういうサウンドの癖というか本質というか、そういう何かがあるからなのかもしれません。ちなみにジョージ・マーティン氏が「Tug Of War」をプロデュースしていたというのは私自身はあとで気づいたので、音楽の好みは先入観なしの結果です。
当時はジョン・レノンが亡くなって間もない頃で、脱力感に苛まれたポールがアビーロードスタジオでジョージ・マーティン氏とジョンの昔話に花を咲かせて、一緒に泣いたといわれています。そういう中で作られたのが「Tug Of War」です。ジョンの追悼曲の中では「Here Today」が最も好きな曲です。
ジョージ・マーティン氏といえば、ビートルズの6枚目のオリジナルアルバム「ラバーソウル」で、B面の4曲目の「In My Life」の間奏部分でバロック風のピアノを弾いていることで有名です。ゆっくりと回転させたテープで録音して回転を速くしてあるそうです。確かに、そういう風に注意深く聴くと、「トゥルン〜」という感じからそうであることがわかります。私の大好きな曲ですが、こういうレコーディングテクニックを使っていた革新的な時代だったということを考えながら聴くと、また別の楽しみ方ができます。
また、ジョージ・マーティン氏はビートルズの2枚組のアルバム、通称ホワイトアルバムを1枚に絞りたかったと思っていたけれども、メンバーに拒絶されたと言われています。もし、本当に1枚に絞られていたら、今のホワイトアルバムの評価を受けていたでしょうか。私はいろいろな曲が入っている2枚組で本当に良かったと思っています。ちなみに、ジョージ・マーティン氏はホワイトアルバムの中の1曲は入れたくなかったそうです。どの1曲かは明らかになっていませんが、一説には「The Continuing Story Of Bangalow Bill」ではないかと言われています。その理由は、ジョンではない歌声が入っているからとのこと。ビートルズに詳しい人ならピンとくると思われます。そういうわけで、1枚にまとめたかったのかもしれませんね。そうすれば選考から漏れる可能性が高かったのではないでしょうか。
しかしアルバム「Let It Be」ではフィル・スペクターという別のプロデューサーを迎えていますので、ずっとビートルズのプロデューサーだったわけでもないのですね。「Let It Be」の1曲でも、シングルバージョンとアルバムバージョンで異なります。シングル・ヴァージョンがジョージ・マーティン氏によるアレンジで、アルバムヴァージョンがフィル・スペクター氏によるアレンジです。この1曲をとってみても、ジョージ・マーティン氏のテイストが何となく窺い知れます。
ビートルズサウンドに大きな影響を与えたジョージ・マーティン氏が亡くなったことで、今ではもうそういったテイストの音楽が生み出されることはないんだな〜と何だか寂しくなりました。
それでは、また。