通算6匹目のすっぽんの目が新鮮な水道水で白濁してしまう現象についての原因と対策

↑アイキャッチ画像は現在生きている16匹のスッポンのうち、3番目に年長の飼育1470日目のかみつきちゃんを2023年10月26日10:05に撮影したもの。現在の甲長は10cm。

この記事では通算6匹目のすっぽんの目が水換え直後から濁って数時間後に元に戻る不思議な現象について、その現象の再現性と、考えられる原因および対策を記述しています。これまで何度も水換えをして目が濁って、ビタミン剤を入れて放置するとだんだん透明になっていきました。でも、それはビタミン剤の効果ではなく、時間が経つことによって水槽水のカルキが抜けていく現象が本質的に重要であると考えています。そこで、わざと濁らせるような検証の仕方はスッポンがかわいそうなのでやりません。そのかわりに濁っていない目の状態で汲み置きの水槽水に入れても濁らないことを検証しましたので、以下に示します。

角膜が白く濁る現象

スッポン
今朝は角膜が白くなっていました。感染症がぶり返したかと思って人間用に処方されていたタリビッド眼軟膏0.3%を角膜に人差し指で軽く押し当てました。口の付近に付着しているゲル状物はスッポンがまばたきした時に付着したものです。しかし、2023年8月20日に最初に動物病院に掛かってからもう2ヶ月経ったといのに、まだ感染症が治らないのはおかしいです。(2023年10月25日11:17撮影)

スッポン
目の部分を切り取って拡大。(2023年10月25日11:17撮影)

スッポン
目の部分をさらに拡大しました。上から見た右目で角膜の白濁がわかります。(2023年10月25日11:17撮影)

スッポン
もう1枚、濁りがわかる写真を紹介します。(2023年10月25日11:17撮影)

スッポン
目の部分を切り取って拡大。(2023年10月25日11:17撮影)

スッポン
目の部分をさらに拡大しました。(2023年10月25日11:17撮影)

スッポン
水に入れる直前までたらいに入れてワイヤーラティスを被せて脱出できないようにして室内で日光浴させていました。乾燥させている時はほぼ透明です。なぜか水に入れると濁ってくるようです(上の写真)。どうやら蛇口から出した新鮮な水道水に入れると濁るようです。カルキが原因ならカルキ抜きしたら濁らなくなるでしょうか。明日の朝に汲み置きの水道水で検証します。(2023年10月25日11:11撮影)

スッポン
目の部分を切り取って拡大。(2023年10月25日11:11撮影)

スッポン
左目のみならず右目もほぼ透明です。(2023年10月25日11:11撮影)

スッポン
目の部分を切り取って拡大。(2023年10月25日11:11撮影)

汲み置きの水道水でも角膜が白く濁るか検証

スッポン
昨日同様、リビングで甲羅干ししました。これから汲み置きしていた水道水に入れて目が濁るかどうか検証します。この写真は水に入れる前の左目です。もっとうまく撮れれば良かったのですが・・・(スッポンが常に動いているのでうまく写真が撮れませんでした)。(2023年10月26日9:19撮影)

スッポン
この写真は水に入れる前の右目です。これももっと明るく撮れれば良かったのですが・・・(スッポンが常に動いているので難しいです)。(2023年10月26日9:20撮影)

スッポン
両目が写っている写真、この写真でも濁っているかどうかはわかりませんでした。(2023年10月26日9:21撮影)

スッポン
数日汲み置きしていた水槽水をガラス水槽に入れて、スッポンを入れました。そしてすぐに写真を撮影しました。上から眼球の表面を見ると、少しだけ濁っているのがわかります。しかし、この濁りはここで問題にしている濁りよりはかなり薄いです。このかすかな濁りが先ほど水に入れた瞬間から生じたのか、甲羅干し中(乾燥中)も少し濁っているのかは確認できていません(うまく写真が撮れないので難しいです)。おそらくこの個体の角膜の現在の状態は完全に透明ということはないのかもしれません。(2023年10月26日9:32撮影)

スッポン
水面に顔を上げたところを撮影しました。角膜は新鮮な水道水を使った時ほど濁っているようには見えません。(2023年10月26日9:32撮影)

スッポン
ガラス水槽の側面から水の中に潜っているところを撮影しました。右目の角膜はこれまで問題としてきた濁りの程度と比べると濁っているようには見えません。(2023年10月26日9:33撮影)

スッポン
汲み置きした水に入れて2分経過した時点で水面に顔を上げたところを撮影しました。角膜はこれまで問題としてきた濁りの程度と比べるとほとんど濁っているようには見えません。よって、汲み置きの水道水を使った場合はここのスッポンの目は白くならないということがわかります。私がこの2ヶ月の間、目が感染症になったと思っていた角膜の白濁は、実は細菌によるものではなく、水槽水の中の特定成分が原因だった可能性がかなり高くなりました。(2023年10月26日9:34撮影)

感染症による白濁ではなく水道水が原因と判断した根拠

最初は2023年8月19日(土)にスッポンの両目が濁っていることに気付いて、翌日の2023年8月20日(日)に動物病院に連れて行きました。そしてこれまでに他のスッポンでもあった目の感染症だろうということで、フルオロキノロン系抗菌剤ロメワン(塩酸ロメフロキサシン眼科耳科用液)を処方されました。1日2回両目に点眼して一進一退で治りきれませんでした。この時点で以前の別のスッポンの目の感染症とはちょっと異なるような気がしてきました。しかし、他に手立てもないし、薬もなくなったので10日後の8月30日に再診を受けました。抗生剤で治らないならビタミンA欠乏症の可能性もあるということで、私が使用しているテトラレプチゾルを提案したらそれでいいということで、3週間ぐらいを目処に投与してみてくださいということで、そして同じ点眼薬だけを処方してもらって帰ってきました。それを点眼しながらレプチゾルも水に滴下したりサケの刺身に付けて食べさせたりしましたが、やはり一進一退でした。私は何かおかしいと思い始めました。感染症なら1〜2週間で治るのに2ヶ月は長すぎます。連続投与の問題もあるのでもう目薬は2回目処方分もほぼなくなりかけたところでやめました。そしてビタミン剤(レプチゾル)だけ投与を続けましたが、やはり一進一退でした。目薬は使わずに蛇口から水道水を3〜4cmぐらいの深さになるように汲んでスッポンを入れてレプチゾルを5,6滴滴下して様子を見ました(顔に直接滴下したりしました)。数時間後にチェックして目は濁っていないように見えました(←数時間後が重要!)。一見効果があるように見えました。でも、レプチゾルを入れても目が濁っている日もありました(←チェック時間はまちまち。これ重要!)。よくよく考えると水道水を汲んでスッポンを入れてまだあまり時間が経っていない時でした。レプチゾルをまだ入れていない状態でした。一見レプチゾルの効果に見えますが、そんなに分単位で即効性があるとは到底思えません。つまり、水道水が怪しいということです。

そこで私は魚の水槽用に汲み置きしている水道水とレプチゾルを使ってみました。するとスッポンの目はいつものようには濁りませんでした。汲み置きしている水道水だけ使ってもスッポンの目は濁りませんでした。そこで私は気づきました。スッポンの目が濁るのは水道水の中のカルキ(次亜塩素酸カルシウム)か何かが原因ではないかと。そしてレプチゾルを入れる入れないは今回のケースでは本質的に関係ないと思いました。十分に汲み置きしている水道水では目が濁らないということは、蛇口から汲んだ水道水でも時間が経ってカルキが抜けていけば(分解していけば)目の濁りが消えていくのではないかと考えられます。ビタミン剤(レプチゾル)が効いているように見えたのは、新鮮な水道水にレプチゾルを滴下したことによって水道水中のカルキが早く分解され、汲み置きの水道水に近い状態になったからかもしれません。

例えば、

還元型ビタミンC(アスコルビン酸)と次亜塩素酸との反応:

C6H8O6 + HClO  → C6H6O6 + H2O + HCl

ちなみにカルキ抜き(チオ硫酸ナトリウム、今回は使っていません)と次亜塩素酸との反応:

Na2S2O3・5H2O+4HClO → 2NaCl+2H2SO4+2HCl+4H2O

そう考えれば辻褄は合います。つまり、目の濁りをチェックするまでの経過時間によって濁っていたりいなかったりと結果が変わっていたということです(私はまさかこんなことがあるとは想像もしていなかったので、そこは統一していませんでした)。蛇口からの水道水を入れてすぐにチェックした時にはスッポンの目は濁っていて、数時間経過した時点でチェックした時にはスッポンの目はほぼ透明になっていたという理屈です。私はビタミン剤(レプチゾル)をずっと投与しているのに目の濁りが改善されている日とそうでない日があるのはおかしいと思っていたのですが、実はこの場合レプチゾルは直接は関係なくて(カルキ消費という形で間接的に関係している可能性はありますが)、水道水が新しいか古いかが関係していたということではないかと思います。角膜の白濁の原因がまさかの水だったという落ちです。そして、汲み置きの水を水槽に入れる前に、ちょっと蛇口から出てくる水道水で容器やスッポンを洗っただけでも目は白っぽくなりました。このスッポンの目にとって良くない(白濁の原因となる)成分が水道水に入っているようです。これらの事実から私が導いた結論が正しければ対策は立てられます。少なくとも上記の考えでいけばこれまでの現象はすべて説明がつきます。ただ、なぜ他のスッポンは何ともないのにこのスッポンだけ水道水で角膜が白濁するのかがわかりません(それはまた別の問題)。この個体は特異体質なのでしょうか。アレルギーでもあるのでしょうか。いずれにしても現状において私にできることは、このスッポンには新鮮な水道水は使わずに、少なくとも3日以上汲み置きしたもの(1日では足りない可能性があるので最低でも3日ぐらい経ったもの)を使って目の様子を経過観察するということです。

以上、俄かには信じられない結論でした。水道水の成分が最近変わったのでしょうか?変わったとすればこのスッポンの異状に気付いた8月と思われます。

でもまだ完全に納得しているわけではありません。何か新しくわかった場合は適切に加筆・訂正などの対応を行います。難しいですがスッポンちゃんのため。







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