こんにちは、熊の実です。
これまで、市販の果実や自分で栽培した果実を用いて、いろいろな果実酒を仕込んで検討してきました。そこで、どの果実酒が自分好みだったかを検証してみたいと思います。
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用いた果実
用いた果実は、市販の果実はりんご、パイナップル、ざくろ、プルーン、イエローストロベリーグァバ、梅、アンズ、パッションフルーツ、金柑、シークヮーサー、プラムなどです。⇒ 元のデータはこちら
いろいろ作ってみてわかったのは、そのまま食べても美味しくない酸っぱい果実が果実酒に向いているということです。梅とかアンズとかです。プルーンやイエローストロベリーグァバで作った果実酒はまあまあ美味しいですが酸味がありません。梅酒とアンズ酒は鉄板です。
果実酒に向かないと思われる果実
香りがないとか、酸味がないとかいった、これといった特徴のない果実を用いる果実酒は、だいたいはレモンを入れることが多いようです。りんご酒とか、パイナップル酒とかです。プラム酒とか、プルーン酒も甘いだけの果実酒になりました。私はレモンは基本的に入れませんでした。
これまでの結果を踏まえて、まだ作ったことはないですが、作っても美味しくなさそうな果実酒は、(野菜ですが)スイカとかトマトとか、を使った果実酒ですね。そのまま食べた方がいいです。スイカとかはジュースにして美味しくなさそうですよね。もちろん、梅もジュースにしたら美味しくないでしょうが、酸っぱいから砂糖を入れれば何とか美味しくできそうです。これが果実酒を作る時に何を用いるかの私なりの判断法です。
氷砂糖を用いる理由
一般に果実酒の味付けには普通の粉末の砂糖ではなく氷砂糖が使われます。それは、ホワイトリカーや焼酎に溶ける速度を遅くするためです。砂糖があまり早く溶け過ぎると果実からいきなり水分が抜かれるので、エキスの抽出効率にだいぶ影響します。果実がシワシワになってしまうと思います。いわゆる浸透圧が関係しているわけです。水は浸透圧の低い方から高い方へ移動します。
氷砂糖を使うと、表面積が粉末の砂糖よりもだいぶ少ないので少しずつ溶けます。すると、最初は容器の底に沈んでいた果実がだんだん浮いてきます(もちろんこれも入れた氷砂糖の量によりますが・・・)。
しかしこれはもちろん砂糖の濃度によります。砂糖の濃度が高くないならあまり変化はないですが、濃度がかなり高いと果実がシワシワに縮んでしまいます。最初から果実の中のいろいろなエキス(すなわち溶質)の濃度より外のホワイトリカーや焼酎やブランデーの溶質濃度(ここでは圧倒的に砂糖の濃度)が高い状態にすると抽出がうまくいかないわけです。だから、ゆっくり溶かす必要があります。そこで使われるのが氷砂糖です。
そうであれば、最初から氷砂糖は入れずに、十分抽出されたあとで氷砂糖ではなく普通の砂糖を入れてもいいような気がしますが、どうなのでしょう。誰か試してみませんか。それでもうまくいくのであれば、氷砂糖を使う必要もなくなりますよね。サイエンスと味は別物でしょうか。
ちなみに、浸透圧を考える時は、溶けている成分(溶質)の種類はここでは関係なく、分子やイオンの数がどれだけあるかが問題です。種類ではなく数で決まるこういった性質を束一的性質(そくいつてきせいしつ)といいます。ですから、外側は砂糖の濃度がメインですが、果実の内側はクエン酸とか金属イオンとかその他いろいろあることになります。問題にするのは数です。単位体積あたりに溶けている分子やイオンの数が多い方が浸透圧が高いということになります。水は浸透圧の低い方から高い方へ移動して、同じ濃度になったら平衡状態になります。
結論
いろいろ試してみましたが、お手製果実酒の中で美味しかったのは、やはり梅酒です。しかし、それより美味しいのがありました。焼酎(園の露)で漬けたアンス酒です。ただ、アンズがなかなか生らないので、ここ数年は作れていません。2017年は期待しているのですが・・・。ほかに、果実自体に特に特徴がないのに意外に美味しかったのがパッションフルーツ酒とプルーン酒とグァバ酒でした(もちろん私の好みですので参考にとどめてください)。味はともかく、仕込んでから経過観察するのは楽しいものです。
私が今興味を持っているのはカリン酒です。あの青りんごのようなカリンの果実が秋に木に生っているのを見かけるたびに「1個でいいから欲しい!」と思います。
それでは、また。