渋柿で干し柿作り2014
Making dried persimmons from sour persimmons
in 2014.
つくりやすさ | ★★★☆☆ |
おすすめ度 | ★★★★★ |
干し柿をつくるため近所のスーパーから渋柿を買ってきました。皮を剥いて紐でつるして、虫除けのネットを被せます。もし、T字型の果柄が取れてしまった場合は、一工夫することでその渋柿も有効利用することができます。今回は39個入っていた渋柿のうち、30個を吊るしました。
渋柿がなぜ渋いかというと、水溶性のタンニンが入っているからです。水溶性ですので、人間の舌には渋みを感じるわけです。これが、干し柿を作っている間に水に不溶性になってくると、食べても渋さを感じなくなるわけです。甘柿が最初は渋くて、あとで甘くなった時は、黒いゴマがたくさんできていますが、ゴマは水に不溶のタンニンが集まってできたものです。化学マメ知識でした。
私の故郷にある紫尾温泉では温泉のお湯であおし柿を作っています。

2014年11月6日に買ってきた渋柿。名前はわかりませんが、よく見る柿です。
(2014年11月6日)。

39個入っていました。
(2014年11月7日)。

1本の紐に10個結びました。紐の長さは約1.5前後(お好み)で、真ん中部分は物干竿に掛かる部分ですので、そこには柿は結びません。あまり長くすると虫除けのネットに収まらないと思います。
(2014年11月7日)。

3本吊るしました。30個です。
(2014年11月7日)。

中央部分。
(2014年11月7日)。

下の方。
(2014年11月7日)。

虫除け用のネットを被せました。
(2014年11月7日)。

ネットと柿が接触すると、ハエがペタペタする可能性があります。
(2014年11月7日)。

こんな感じです。
(2014年11月7日)。

紐を長くとりすぎると、下に届いて柿とネットが接触することになります。
(2014年11月7日)。

30個分の皮です。プランターの土の肥料にしようかと思います。
(2014年11月7日)。

吊るしてから1ヶ月経ちました。へたの部分を包丁で切り落としてラップで包みました。冷蔵庫に保存します。
写真左上は愛宕柿の干し柿。
(2014年12月9日)。
雨の時は新しいゴミ袋をハサミで切って広げたものを洗濯バサミではさんで固定して、濡れないようにします。虫除けのネットは100均で買ってきたものです。
ちなみに、渋柿は甘柿より糖分が多いので、甘柿で干し柿を作ってもそんなにおいしくはないそうです。渋柿は厄介者ではなく、食べればおいしいし、花の咲く頃は授粉で大きな役割を果たします。甘柿がたくさん生るのは渋柿の木のお蔭です。
2014年12月9日(火)、吊るして1ヶ月経ちましたが、だいぶ萎みました。それで、へたの部分を包丁で切り落として、ラップに包んで冷蔵庫に入れました。
柿渋の意外な応用例
柿の渋味成分はタンニンというポリフェノールです。渋柿をかじって渋いと感じるのは、水に溶けるタンニンのせいです。これが凝集してゴマのようになってると渋く感じず、本来の甘さを感じます。なので、甘柿はゴマが入っていて、甘いわけです。一方、渋柿は、あおし柿にすることによって、タンニンを水に溶けない形に変えます。この時、アセトアルデヒドという化学物質が発生し、タンニンの水酸基と反応することによって、水に溶けなくなるわけです。
ということは、加齢臭の原因物質のアルデヒドとも反応することになります。加齢臭の原因物質の正式名称は2-ノネナールといいます。炭素数が9個のアルデヒドで、アルデヒド基(-CHO)の隣りの炭素と3個目の炭素の間にC=C二重結合があることが、その名称からわかるわけです。このおやじ臭の原因物質が柿の水溶性タンニンと結合すると、おやじ臭が消えるわけです。タンニンの石けんがあれば、それで体を洗うことによって、皮膚に残ったタンニンが随時発生したノネナールと反応して消臭効果が発現するわけです。渋柿はそのままでは食べられませんが、私たちの生活にこんな形でも役立っています。私は化学が専門ですが、とても理にかなっていると思います。