否定の及ぶ範囲について考えてみよう!

否定がどこまでかかっているかわからなくなることがありませんか?

kuma
I didn’t buy the ticket because I wanted to sell it.を訳してみなさい。
nomi
「私は売りたかったからそのチケットを買わなかった」ですか?
kuma
それだと意味がおかしくないか?notはI bought the ticket because I wanted to sell it.にかかると考えればいいんだ。つまり、「私は売りたかったからそのチケットを買った」+「のではない」、つまり「私は売りたかったからそのチケットを買ったわけではない」だ。
nomi
もっと簡単な例はないの?
kuma
I’m not very good at cooking.はどうだろう。「私はあまり料理が得意ではない」だ。これを「私は料理がとても得意ではない」と訳したら間違いだ。
nomi
だけどveryは「とても」なのにnot veryは「それほど」となるの?
kuma
「全く〜というわけではない」「完全に〜というわけではない」となるわけだ。
nomi
部分否定みたいなものですね。
kuma
そうだ。
nomi
そうすると、I don’t really like this music.は「この音楽はあまり好きではない」となるわけですね。ここでdon’tとreallyが入れ替わったらどうなるんですか?
kuma
I really don’t like this music.だね。この場合、「私は本当にこの音楽が好きではない」→「この音楽が大嫌いだ」となるんだ。「副詞 + not」の時は副詞が文全体を修飾することが多いんだ。
nomi
それじゃ、最初の文I didn’t buy the ticket because I wanted to sell it.は「私はそれを売りたかったから買わなかった」という場合もあるんじゃないですか?
kuma
もちろんだ。こういう例もあるぞ。I didn’t go to the airport to see her off because I loved her.は「私は彼女を愛していたから空港に見送りに行かなかった」と「私は彼女を愛していたから空港に見送りに行ったわけではない」の2通りの解釈ができる。
nomi
ということは、結局のところその場面での文脈で判断するしかないじゃないですか?
kuma
まあ、そういうことになるかな。大事なのは1つの文でも2通りの解釈ができる場合があるということを知っておくことだ。あとは流れでどちらなのか判断するんだ。このように否定がどこまでかかっているかは大きな問題だ。でも、紛らわしい時は別の表現を使って確認した方が無難だね。
nomi
どういうことですか?
kuma
becauseの前にnotを置くとか。例えば、He married her not because he loved her but because he wanted to get her wealth.(彼が彼女と結婚したのは、彼女を愛していたからではなく彼女の財産が欲しかったからだ)だ。He didn’t marry her because he loved her.と He married her because he wanted to get her wealth.では前者の文の意味が2通りとれるよね。「彼は彼女を愛していたから彼女と結婚したわけではない」と「彼は彼女を愛していたから彼女と結婚しなかった」だ。何か訳ありなのかな〜って感じだよね。そこでnot A but B(AではなくB)の形で一緒にしてしまえば理由が明確になるよね。彼は彼女を好きではなかったんだ。本当に大事なことなどは別の表現で言い換えれば誤解されずにすむかもね。
nomi
何てブラックな例文なの!ひどい!
kuma
まあ、しかし、2通りの意味にとれる場合、逆の意味にとられると大変だし、それで友達を失ったりすることもあるかもしれないよね。だったら、確認する意味も込めて言い換えは重要だよね。ちなみに、言い換えは英検準1級や英検1級の勉強でも重要だぞ。今日はこのくらいで勘弁しといてやろう。
nomi
ありがとうございました。

まとめ:
「not + 副詞」の時はnotはその副詞を否定する。
「not + 強調の副詞(very, really, completely, absolutely, exactlyなど)」の形は「全く〜というわけではない、完全に〜というわけではない」という部分否定的な意味になる。
2通りの解釈ができる時は、文脈で判断するところが大きい。
紛らわしい時は、別の表現で確認するという方法もある。







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