ヤモリの手足の秘密
Gecko (house lizard)
ヤモリはとてもかわいいですね。ヤモリはけっこうあちこちで見かけます。ヤモリは壁を平気で移動できます。落ちてきません。その手足は吸盤ではありません。もし、吸盤だったら、空気を逃がさないような滑らかなところしか吸い付くことはできませんし、第一、引っ付いてしまって移動もままならないでしょうね。では、一体どうなっているのかということになります。その秘密はヤモリの手足のナノ構造にあります。けっこうすごい構造であるということを知らない人は多いと思います。その秘密は接着剤への技術にも応用されています。
電子顕微鏡でヤモリの手を観察すると、もんじゃ焼きを食べる時に使うヘラのような形をしたものがぎっしり表面を垂直に覆っています。その1つ1つには、すべての物質に作用している分子間力、すなわちファンデルワールス力が作用しているのです。一般に分子間の相互作用にはいくつかの様式があります。例えば、イオン結合、水素結合、双極子−双極子相互作用、電荷移動相互作用、ファンデルワールス力などです。その中で最も弱い相互作用がファンデルワールス力なのです(ちなみに疎水性相互作用は水から嫌われて仕方なく集合させられている状態なので、積極的な引力ではありません。しかも水の中限定です)。ファンデルワールス力が最も弱い相互作用だといって軽く見てはいけません。弱くてもたくさん集まって力を合わせれば大きな力になるのです。例えば、集まれば強くなる例として、ファンデルワールス力ではないですが、マンガ本2冊で考えてみましょう。マンガ本を2冊用意して、トランプを切るみたいに、1ページずつ交互に重ね合わせれば、その2冊を引き離すのにすごい力が必要になります。普通の人の力ではもはや引き抜くことはできないと思います。綱引きもそうですね。1人の力は大したことはないけれども、大人数で引っ張れば、綱が切れることもあるほど大きな力になります。それらの現象と同じように考えればいいわけです。この考え方を接着剤にも応用できるわけです。biomimicryとナノテクノロジーの融合を端的に表す一例ですね。
レンガの壁にいたヤモリ。
暗かったのでフラッシュを焚いて撮りました。
(2007年5月16日)
レンガの壁にいたヤモリ。
(2007年5月20日)
レンガの壁にいたヤモリ。
(2007年5月20日)
レンガの壁にいたヤモリ。
夕方だったのでフラッシュを焚いて撮りました。
(2007年5月20日)
レンガの壁にいたヤモリ。
尻尾の柔軟性が窺い知れます。
(2007年8月21日)
家の外壁にいたヤモリ。
尻尾が壊死しているように見えます。
(2012年4月12日)
店の外灯に集まる虫を待ち受けるヤモリ
(2014年9月1日夜)
店の外灯に集まる虫を待ち受けるヤモリ
(1分後に少し移動しました)
(2014年9月1日夜)
宿泊したホテルの壁にいた小さなヤモリ
(2014年9月2日午前0:29)