飼育2匹目のスッポンの1159日からの飼育記録と高い理解力に関する考察(2022年1月7日〜16日)

↑上のアイキャッチ画像はガラス水槽の中の飼育1160日の2匹目のスッポン。スポイトを入れてゴミを吸う時、必ず手足を伸ばします。このアイキャッチ画像ではスポイトの先を甲羅の最後部のすぐ横、すなわち頭からみて右斜め後方に入れた時に、スッポンがスポイトの位置を確認した上で飼い主の意図を理解して、体の下の掃除を助けるためにピーンと4本の足を伸ばして尻を上げてくれています。この行動はもうずいぶん前から見られるので、このスッポンに限っては普通です。(2022年1月8日11:44に撮影)

これまでの経過の概要

2018年9月5日から飼育を始めた2匹目の子スッポンが2022年1月7日で1159日になりました。冬季は活性が低下しているのであまり成長しませんが、ヒーターで温度を保っているので食欲はまあまああります。

2021年11月20日現在、甲長は21cmでしたが、2022年1月現在もあまり大きい変化はないと思われます(測っていません)。自傷行為の傷はだいぶ治ってきました。2022年はあまり大きくならなくてもよいと思っています。ガラス水槽の大きさが問題になってくるからです。

夕方に私が立ち上がって白いたらいを持つと条件反射的にガラス水槽から上げてくれとしつこくせがむ飼育1159日のスッポン(2022年1月7日)

スッポン
夕方以外の日中にはとてもおとなしい飼育1159日のスッポン(1枚目/3枚)。(2022年1月7日8:04撮影)

スッポン
夕方以外の日中にはとてもおとなしい飼育1159日のスッポン(2枚目/3枚)。(2022年1月7日9:28撮影)

スッポン
夕方以外の日中にはとてもおとなしい飼育1159日のスッポン(3枚目/3枚)。甲羅の上に虹が見えます。(2022年1月7日10:51撮影)

夕方になって私が立ち上がると突然ガラス水槽の壁に向かって立ち上がる飼育1159日のスッポンを動画に収めました。私が白いたらいを手に取ると上げてもらえると覚えていて激しく動き始めます。ルーティーンを覚えています。(2022年1月7日18:10撮影)(2022年1月7日公開)

水中で日光浴中に右後ろ足を使って向きを変える飼育1160日のスッポン(2022年1月8日)

スッポン
昼前にガラス水槽の中で伸びをしている飼育1160日のスッポン。掃除のためにスポイトを入れるとすぐに手足を伸ばします。この写真ではスポイトを入れた場所が甲羅の後方だったので、体の下を掃除しやすいように尻を持ち上げてくれています。(2022年1月8日11:43撮影)

ガラス水槽の中で手足を伸ばして尻を上げた状態で日光浴している飼育1160日のスッポンが、右後ろ足を突然バシャバシャ動かして体の向きを180°変える様子を動画に収めました。(2022年1月8日11:47撮影)(2022年1月7日公開)

スッポン
向きを180°変えた飼育1160日のスッポン。左後ろ足を後方に蹴るのではなく、右後ろ足を前方に蹴って時計回りに回転して向きを変えたのがちょっと不思議でした。このあとも日光浴を続けました。背中にうっすら虹が見えます。水槽のガラスがプリズムになってできたものです。(2022年1月8日11:48撮影)

このスッポンが飼い主の意図を汲み取っていることを証明するための実験(2022年1月8日)

スポイトを見た時の条件反射と思われる行動が偶然ではないことを確かめるために、以下の2つの実験をやってみました。スポイトの位置によって体を持ち上げる位置を変えるかどうかです。

スッポン
このスッポンがスポイトを入れられた意味を理解していることを確かめることを目的として、右側の前足と後ろ足の間にスポイトを置いてみました。すると体の右側を持ち上げる行動が確認できました。(2022年1月8日16:41撮影)

スッポン
逆に左側に置いたらどうなるかと考え、右側同様にスポイトを置いてみたところ、今度は左側を持ち上げました。どうやら飼い主がゴミを吸い取ろうとしていることがわかってやっているようです。体の下にあるゴミを吸い取りやすくしてくれているのではないでしょうか。だとすれば(個体差が大きいとはいえ)スッポンは思ったよりかなり賢いということを窺わせる事例といえます。(2022年1月8日16:42撮影)

結果と考察(2022年1月8日現在)

このスッポンは飼い主がガラス水槽内の糞や食べ残しの掃除のために水槽内にスポイトの先を入れると、体の下にあるゴミを吸い取りやすくしてくれるかのように大の字に伸びをして、スポイトの近くの体を持ち上げてくれることがわかりました。スッポンも個体によっては予想以上に高い知能を持っていることが示唆されます。このスッポンの飼育年数は3年2ヶ月(年齢は推定で3年3ヶ月)、最初からかなりやんちゃでしたが、最近になってとても賢いスッポンなのではないかと思えてきました。とはいえこのようなスッポンは私が飼っているスッポンたちの中では今のところこの1匹だけです。他の多数の個体ではそのような行動をとるのは今のところいません(今後はわかりませんが可能性かなり低いと見ています)。それゆえ、このような性格・行動はかなり個体差が大きいといえます。このスッポンは希少価値がありそうです。

水槽内の掃除に協力してくれる飼育1164日のスッポン(2022年1月12日)

スッポン
水槽にスポイトを入れて掃除を始める前の飼育1164日のスッポン。(2022年1月12日10:36撮影)

飼育1164日のスッポン。ずいぶん前からガラス水槽内の水の中のふんや食べ残しをスポイトで吸い取って掃除する時に必ず手足をピーンと伸ばして体を浮かせるようにすることに気付いていましたが、今日は初めて動画に収めました。このスッポンはスポイトを水槽に入れるところから見ていて、スポイトが水に入する前から動き始めてストレッチしていることが確認できます。この手足をピーンと伸ばして固まる行動はいつものことです。ルーティーン化しているから条件反射でこのような行動になっていると思われますが、もともと水が汚れてくると嫌がる性格なので、スポイトで掃除してくれることを理解していてこのような行動になるものと思われます。この動画の中では最初にスポイトを後方に持って行ったので尻を浮かせています。そのあと左側の前足と後ろ足の間にスポイトの先を持っていくと左側の体を浮かせているのが確認できます。いつもは右側も同様に浮かせてくれるのですが、たまたまこの動画撮影時はうまく撮れませんでした(今後もっと良い動画が録れたらアップロードするつもりです)。作業をやめてスポイトをしまうとすぐに通常の体勢に戻ります。(2022年1月12日10:38撮影)(2022年1月12日公開)

スッポン
掃除を終了してスポイトを水槽から出すとすぐに普通の体勢に戻ります。(2022年1月12日10:38撮影)

スポイトのかわりにピンセットを用いた場合の結果はこちら →

飼育1164日のスッポンがガラス水槽内の柔軟な仕切り板を登る時の様子(2022年1月12日)

飼育1164日のスッポンがガラス水槽内に設置したプラスチック製の柔軟な仕切り板を登ろうとして何回か失敗した後に、3回目のチャレンジで後方にどでんとひっくり返ってしまいました。その後すぐにうまく首を使って起き上がりました。ちなみに仕切り板はあえてフニャフニャに仕上げています。仕切り板が頑丈だと上まで登ることができてしまい、そうなると外に出られるからです。(2022年1月12日16:13撮影)(2022年1月12日公開)

飼育1168日のスッポンが水槽内を掃除するのを手伝ってくれることを確認するための実験(2022年1月16日)

スッポン
飼育1168日のスッポンがいるガラス水槽内にピンセットを入れた時の写真。この撮影の時点ではまだ動いていましたが、すぐに動きをやめました。スポイトを入れた時と同様の行動に見えました。そこで、この1時間半後にそのことを確認するために撮影した動画が下の動画です↓。(2022年1月16日13:32撮影)

飼育1168日のスッポンが水槽内を掃除するのを手伝ってくれていることを確認するために、スポイトではなくピンセットを用いてふんや食べカスを取り除くふりをしてみました。スポイトを用いた場合はそのような挙動はずっと前から確認されていたにもかかわらず、それが単にスポイトというものに反応しているのか、スポイトでゴミを吸い取ること、すなわち掃除という目的を認識しているのかがわからなかったからです。今日の実験の結果、ピンセットを用いてもスポイトを用いた場合と同様の行動が確認できました。すなわち、飼育1168日のスッポンがいるガラス水槽にピンセットを入れるとすぐに動きをやめました。まもなく手足を伸ばして固まりました。スッポンの体の右側にピンセットを持っていくと右側を若干浮かせました。同様に左側に持っていくと若干だけど左側を浮かせました。最後にピンセットを甲羅の後方(尻尾の近く)に持っていくと尻を浮かせるような体勢を取りました。これらのことから、このスッポンはスポイトだけに反応しているわけではなく、ピンセットにも反応することがわかりました。すなわち、スポイトやピンセットを用いる目的が掃除であることを理解していて、水の中の食べカスやふんをできるだけ取りやすいように手伝ってくれているといえる行動です。もう3年以上飼育している中で、食べカスやふんを除去するところを見ていて覚えたのでしょう。(2022年1月16日15:05撮影)(2022年1月16日公開)

結果と考察(2022年1月16日現在)

2022年1月12日に見られたスポイトへの反応2022年1月16日に見られたピンセットへの反応がスッポン一般に見られるかというと、そうではないと思います。実際に私が飼育している多くのスッポンの中でも今のところこの1匹だけです(少なくとも私の飼育しているスッポンたちの中からは今後また出てくる気はしません)。よって個体差が大きく、このようなスッポンに出会える確率はかなり低いと思われます。少なくとも幼体から育てないと無理だと思います(捕まえてきた大きい野生のスッポンでは無理だと思います)。なぜならば捕まえてきた幼体ではない2〜3歳以上の野生のスッポンは人間に馴れるのはかなり難しいからです。私が保護した1歳ぐらいの野生のスッポンは飼育1年で馴れてくれたという例はあるにはありますが、もっと野生の年数が上がるともうほとんど無理だと思います。何より野生の大きいスッポンは鼻息も荒く、触るとかみつこうとするのでかなり危険です。自然の厳しさの中で生きているのでかなり警戒心が強いです。(野生でない市販のスッポンは割と穏やかな性格の個体が多いです)

今回のようなスッポンに仕上げるコツは明確にはわかりませんが、今回のような挙動を示す個体の特徴について(十分条件ではなく)必要条件をひとまずいくつか挙げるとすれば、積極的/活発/元気一杯なスッポンで、よく飼い主に馴れていること、そして汚れた水を嫌がること/綺麗好き(食べカスなどをとってもらえることを望んでいる?)が挙げられると思います。しかしながら幼体の段階では将来の姿、すなわち、どのようなスッポンに仕上がるかを見抜く/予想することはほとんど不可能といえるのではないでしょうか。不可能とは言わないまでもかなり困難であることに変わりはなく、ある程度育ってから初めてわかることだと思います。そういう意味ではこのような個体に出会えるかどうかは私の持っている感覚では完全に運だと言っても過言ではないと思います。それでも、私の飼育の段階で何かコツがあった可能性もあるので(多少の心当たりはあります)、それが先天的な素質(←これが最も重要)と相俟ってこのような個体に成長した可能性はあります。それについては他の個体の成長過程でこれからも注視していきたいと思います。







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