「き」で始まる鹿児島弁の単語とフレーズ
こんにちは。熊の実です。
ここでは「き」で始まる鹿児島弁の単語とフレーズを挙げています。「き」で始まる鹿児島弁は「か」行の中では「か」や「こ」の場合の242個ほどは多くはありませんが、けっこう重要な単語が含まれています。
補足説明が必要なものは表のあとに書いています。
「き」で始まる鹿児島弁の単語
番号 |
鹿児島弁 |
意味 |
1 |
キ |
刺 |
2 |
キ |
黄色い |
3 |
ギ |
文句 |
4 |
キイ |
黄色 |
5 |
キイ |
霧 |
6 |
キイ |
切る |
7 |
キイ |
桐 |
8 |
キィ |
着る |
9 |
ギイ |
義理 |
10 |
ギイ |
渦 |
11 |
ギイガモウ |
渦が巻く |
12 |
ギイガテ |
義理堅い |
13 |
ギィギィ |
ぎりぎり |
14 |
ギイギイメ |
ミズスマシ |
15 |
キイデコン |
切大根 |
16 |
ギイハイ |
義理交際 |
17 |
キイバン |
まな板 |
18 |
キィモン |
着物 |
19 |
ギイモネ |
賤しい |
20 |
キィワルッ |
笑いやがって |
21 |
ギオユ |
文句をつける |
22 |
キカ |
黄色い |
23 |
キカンタロウ |
きかん坊 |
24 |
キクラ |
キクラゲ |
25 |
キケタ |
効いた |
26 |
キケタヒト |
威厳のある人物 |
27 |
キケモン |
凄腕、敏腕家 |
28 |
キザ |
階段 |
29 |
ギシ |
岸 |
30 |
キシオラッ |
怒鳴って |
31 |
キシカ |
きつい |
32 |
キシカアセ |
ぬかせ |
33 |
キシカエッ |
言いやがって |
34 |
キシコサッナ |
生意気な |
35 |
ギシット |
たくさん、ぎっしり |
36 |
ギッシィ |
ぎっしり |
37 |
キシネコ |
虎猫 |
38 |
キシノトイ |
雉、キジ |
39 |
キシメンデ |
面倒な |
40 |
キシン |
肉桂(ニッキ) |
41 |
キシンダ |
死んだ |
42 |
キジョンナ |
気丈な |
43 |
キスカ |
きつい |
44 |
キスッ |
着せる |
45 |
キセイ |
煙管(キセル) |
46 |
キゾンワリ |
薄気味悪い |
47 |
キタ |
効いた |
48 |
キダ |
ひだ、襞 |
49 |
キタカ |
うつぼ |
50 |
キタゴチ |
北東風 |
51 |
キダゴロ |
固い糞 |
52 |
キチ |
きつい |
53 |
キチンキチン |
きちんと |
54 |
キッ |
聞く |
55 |
キッ |
着る |
56 |
キッ |
効く |
57 |
キッ |
傷 |
58 |
キッカ |
きつい |
59 |
キッガ |
気持ちが |
60 |
キッガ |
尋ねるよ |
61 |
キッガワリ |
気味が悪い |
62 |
キッゲ |
気違い、狂人 |
63 |
キッゲビヨイ |
気違い日和(晴雨の定まらない、きわめて不順な天気) |
64 |
キツクジイ |
キツツキ |
65 |
キツゴアス |
ひどいもんですよ |
66 |
キッサナカ |
汚い |
67 |
キッサネ |
汚い |
68 |
ギッシィ |
ぎっしり |
69 |
キッセガラシ |
騒がしい |
70 |
ギッタ |
ゴム、輪ゴム |
71 |
ギッタマィ |
ゴムマリ |
72 |
キッチャンモズ |
モズ、百舌鳥 |
73 |
ギッチョ |
左利き |
74 |
ギッチョ |
遊戯具 |
75 |
キッテセ |
きつい、疲れる |
76 |
キッニキ |
聴きづらい |
77 |
キッニキ |
切りにくい |
78 |
キッネ |
きつね |
79 |
キッノハナ |
菊の花 |
80 |
キッパシ |
切れっ端 |
81 |
キッモハン |
聞きません |
82 |
キッモハン |
効きません |
83 |
キッヤゾロシ |
やかましい |
84 |
キト |
祈祷 |
85 |
キド |
門の辺り |
86 |
キナクセ |
きな臭い |
87 |
キニュ |
昨日 |
88 |
キノウレ |
梢(こずえ) |
89 |
キノッテ |
昨日、先日 |
90 |
キノソラ |
木と高い部分 |
91 |
キノ |
昨日 |
92 |
キノドッカ |
気の毒だ、むごたらしい |
93 |
キバイキラン |
頑張りきれない |
94 |
キバイキランコ |
我慢比べ |
95 |
キバル |
我慢する、許す、頑張る |
96 |
キバレ |
頑張れ |
96′ |
キビッ |
結ぶ |
97 |
キビィ |
しばる |
98 |
キビル |
紐などでくくること |
99 |
キボソカ |
心細い |
100 |
キマイ |
決まり |
101 |
ギメ |
コオロギ |
102 |
キメツクイ |
決めつける |
103 |
キモス |
来ます |
104 |
キモッ |
気持ち |
105 |
キモイイ |
世話をする |
106 |
キモガキルッ |
気前がいい |
107 |
キモガヤクッ |
胸がやける |
108 |
キモッガエ |
気持ちがいい、快い |
109 |
キモッガワリ |
気持ちが悪い |
110 |
キモン |
着物、衣服 |
111 |
キャァタロ |
ばかな奴 |
112 |
キャクッコ |
幼児を膝の上で上げ下げする |
113 |
キヤス |
消す |
114 |
キヤスン |
消炭(けしずみ) |
115 |
キヤカス |
消す |
116 |
キヤシタ |
来られた |
117 |
キヤッタ |
来られた |
118 |
ギャホンネコッ |
気の毒なこと |
119 |
キュ |
今日 |
120 |
キユッ |
消える |
121 |
ギョシ |
行司 |
122 |
キョデ |
兄弟 |
123 |
キョネンオトドヒ |
数年前 |
124 |
キラス |
おから、豆腐がら |
125 |
ギラフッ |
ホラ吹き |
126 |
ギラヲヤカス |
自慢する、ホラを吹く |
127 |
キラン |
着ない |
128 |
キリ |
綺麗 |
129 |
キリゴンシャ |
潔癖な人 |
130 |
キリシマヤケシ |
オニヤンマ |
130′ |
ギル |
盗む |
131 |
キレ |
きれい |
132 |
キレイカヒト |
綺麗な人 |
133 |
キレゴロンシャ |
綺麗好きな人(たち) |
134 |
キレモン |
敏腕家 |
135 |
キロ |
嫌う |
136 |
キロッ |
記録 |
137 |
キンキンスワッ |
正座する |
138 |
キンクネッ |
クネンボミカン(九年母みかん) |
139 |
キンゴキンゴ |
美しく光っていること |
140 |
キンジョヅッケ |
近所付き合い |
141 |
キンチッダケ |
金竹 |
142 |
キンデクッ |
水仙 |
143 |
キント |
きちんと |
144 |
キントスワイ |
正座をする |
145 |
キンノイショ |
絹衣装 |
146 |
キンベ |
金蝿 |
147 |
ギンミ |
相談 |
3番について:「ギ」(文句)は、「ギヲユナ」(文句を言うな)という感じで使います。
24番について:「キクラ」(キクラゲ)は、私は「ミングイ」と言っていました。超ローカルかも。
33番について:「キシカエッ」(言いやがって)は「キシカエタガ」(よくもまあ言いやがったみたいな意味)
34番について:「キシコサッナ」(生意気な)は「小癪な」→「コサッナ」という感じじゃないかと思います。
39番について:「キシメンデ」(面倒な)は「メンデ」(めんどい)に「キシ」がついています。
40番について:「キシン」(肉桂(ニッキ))は私は「ケシン」の方を使っていました。
41番について:「キシンダ」(死んだ)は、私は「ケシンダ」の方を使いました。
50番について:「キタゴチ」(北東風)は、「北」(きた)と「東風」(こち)
51番の「キダゴロ」(固い糞)は、子供の頃は本当によく使いました。公園や道端に落ちている犬の散歩のフンがまさにそれです。
52番の「キチ」(きつい)は、熊本では大学生の男の子が「ダゴキチ〜」(とてもきつい)と言っているのを聞いたことがあります。そういう意味では鹿児島弁はイントネーションが特殊ですが、使われている単語はけっこう九州内では共通だったり、標準語にもある単語だったりすることもあります。いずれにしても鹿児島弁の肝はイントネーションです。
64番の「キツクジイ」(キツツキ)は、「キ」+「ツクジイ」です。鹿児島弁では「ツクジル」は「突く(つつく)」です。だから、木をつくじるので「キツクジイ」です。
65番の「キツゴアス」(ひどいもんですよ)は、若者は言わないと思います。でも、おじいさんやおばあさんは使うと思います。だから、スピーキングには必要ないですが、リスニングには必要です。「ゴアス」「ゴワス」は西郷どんが言っているイメージがありますが、日常ではあまり聞かないような気がします。
66番の「キッサナカ」(汚い)と67番の「キッサネ」(汚い)はよく使います。
69番の「キッセガラシ」(騒がしい)は、「キッセカラシ」でもいいと思います。「セカラシ」「セガラシ」(うるさい、やかましい)に強意の「キッ」が付いたものです。
70番の「ギッタ」(ゴム、輪ゴム)は、そういえばそう言っていました。
73番の「ギッチョ」(左利き)は標準語ではないでしょうか。
75番の「キッテセ」(きつい、疲れる)は、「キッ」と「テセ」です。「テセ」は「テソイ」「テソカ」ともいいます。意味は「きつい、疲れる」です。「キッ」を付けた方が強調される感じでしょうか。
76番の「キッニキ」(聴きづらい)は、「ききにくい」→「キッニキ」です。
83番の「キッヤゾロシ」(やかましい)は、「キッ」+「ヤゾロシ」(うるさい)
85番の「キド」(門の辺り)はいわゆる「木戸」とは少し違うようです。
89番の「キノッテ」(昨日、先日)は重要です。
92番の「キノドッカ」はそのまま「気の毒だ」でいいと思うのですが・・・・一応、「むごたらしい」という意味も書いています。
96番の「キバレ」(頑張れ)は、鹿児島では必須の単語です。高校野球でも甲子園で応援団が「キバレ」とか「チェスト」とか、その他の励ます言葉で応援します。神村学園は明豊(大分)に惜しくも負けて残念でした。
105番の「キモイイ」(世話をする)は肝煎る」で、名詞形は「肝煎り」
113番の「キヤス」(消す)は重要です。「デンキヲキヤシテクイヤン」は「電気を消してください」といった感じで、日常生活で必ず使います。逆に電気をつけるときは「デンキヲツケックイヤン」(電気を点けてください)といった感じです。
127番の「キラン」(着ない)のように否定で「〜ラン」というのはよくあります。例えば、「いない」は「オラン」、「乗らない」は「ノラン」、「飲まない」は「ノマン」など。
141番について:「キンチッダケ」(金竹)は「チッ」(竹)と「〜ダケ」(〜竹)が重複しているように思われます。
146番について:鹿児島では「ハエ」」は「ヘ」なので、金蝿(きんばえ)は「キンベ」となります。
以上、「キ」から始まる鹿児島弁の単語やフレーズについて見てきましたが、けっこう重要なものが多数含まれています。強意の「キッ」とかは知っておくべきだと思います。「キダゴロ」も(笑)。
それでは、また。
鹿児島弁の五十音表
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