「と」で始まる鹿児島弁の単語とフレーズ

こんにちは。熊の実です。

今回は「と」で始まる鹿児島弁の単語を挙げています。この「と」で始まる鹿児島弁の単語集の記事が「る」と「れ」を除いた44個目であって、これで最後です。「る」と「れ」で始まる鹿児島弁の単語はなぜかありませんでした。

「と」で始まる鹿児島弁の単語は「た」行の中では最も多いです。ちなみに「た」行の中では数の多い順に「と」>「た」>「つ」>「ち」>「て」となりました。

「と」で始まる鹿児島弁の単語には、実はとても重要なものがたくさん含まれています。

解説は表のあとに書いています。

それでは見てみましょう。

「と」で始まる鹿児島弁の単語

番号
鹿児島弁
意味
1
2
3
問う
4
疑問の最後に用いる
5
6
トアカ
遠い
7
トアネカ
遠いですね
8
トイ
取る
9
トイ
10
ドイ
どれ
11
トイアゲ
収穫
12
トイアッケ
取り扱い
13
トイカゴ
鳥かご
14
トイカユッ
取り替える
15
トイキッ
思い切る
16
トイクッ
取り口
17
トイクロ
食う
18
トイクン
取り組む
19
トイケ
取りに
20
トイコン
取り込む
21
トイサグッ
取り下げる
22
トイシマッ
取り締まる
23
トイタツッ
取り立てる
24
トイチラクィ
取り散らかす
25
トイッ
吐息
26
トイトゴイ
取り柄
27
トイトムッ
取り留める
28
トイノバン
大晦日
29
トイヒッ
取り引き
30
トイホデ
とり放題
31
トイモガラ
蓮芋
32
トイヤムッ
片づける
33
トイヤムッ
取りやめる
34
トエ
遠い
35
トオカ
遠い
36
トオン
遠方
37
トカ
〜のか
38
トカギイ
トカゲ
39
トガッ
尖って
40
ドカッ
同格
41
ドガン
どう
42
トキッ
とうもろこし
43
トキナラン
思いがけない
44
トギルッ
とぎれる
45
トクイ
倒れる
46
トクッ
溶ける
47
トゲ
48
ドケ
どこに
49
ドゲン
どう
50
ドゲン
足の踵(かかと)
51
ドゲンシザッモネ
どうしようもない
52
ドゲンスットナ
どうするの?
53
ドゲンモ
どうにも
54
トコイ
55
トコサァ
床の間
56
ドコセェ
どこへ
57
ドコズイ
どこまで
58
ドサッ
どっさり
59
ドシ
友達
60
トジ
湯治
61
トジィ
綴じる
62
トシオィ
年寄り
63
ドシコ
いくら
64
ドシコデン
いくらでも
65
トジッ
届く
66
トシツッ
年月
67
ドシテン
どうしても
68
ドシテンコシテン
是が非でも
69
トシナムン
年寄り
70
トシネ
年齢
71
トシノバン
大晦日
72
トシマラン
あてにならない
73
ドジメッ
どんちゃん騒ぎ
74
ドジャ
どうにも
75
ドジャイコジャイ
どうもこうも
76
トジュ
母屋
77
ドジョ
ドジョウ
78
トゼンネカ
淋しい
79
トゼンネカボ
さびしがり屋
80
ドソッ
ろうそく
81
トジッ
届く
82
ドジャナラン
どうしようもない
83
トッ
取る
84
トッ
飛ぶ
85
トッ
研ぐ
86
トッ
87
トッ
とんび
88
トッ
とうじ
89
トッ
溶く
90
トッ
解く
91
ドッ
道具
92
ドッ
93
ドッ
どく
94
トッイオ
飛び魚
95
トッオジイ
飛び降りる
96
ドッガ
毒蛾
97
ドッガッ
六月
98
トッカヤス
投げ飛ばす
99
トッギ
特技
100
トッキッタ
賢い
101
トックイ
102
トックィ
徳利
103
トックッ
飛び込む
104
トックッ
フクロウ
105
トックラ
戸袋(とぶくろ)
106
トックラゴ
跳躍競争
107
トッケ
取って来い
108
トッケンネ
途方もない
109
トッコ
拳骨(げんこつ)
110
トッコ
フクロウ
111
ドッコイ
同数
112
トッコジイ
飛び降りる
113
トッコン
飛び込む
114
ドッサイ
たくさん
115
ドッサドッサ
どしどし
116
トッシャゲッ
来年
117
トッシャゴ
ホウセンカ
118
ドッシン
独身
119
ドッショ
読書
120
ドッタイドッタイ
どさどさ
121
ドッチンカッチン
両方とも
122
トヅッ
届く
123
ドッナ
ろくな
124
トッノクッ
取り除く
125
トッパッ
アケビ
126
トッビオ
飛び魚
127
トッピャガッ
飛び上がる
128
トッビャグルッ
うろたえる
129
ドップンドップン
水が満ちたさま
130
トッマッ
勤まる
131
ドテ
だろう
132
トテン
とても
133
トト
134
トドッ
届く
135
トドンツマイ
結局のところは
136
トナユッ
唱える
137
トナィ
138
トニ
〜のに
139
トノサァ
殿様
140
トノジョ
主人
141
ドノッサア
どなた
142
トバッ
賭博
143
トバカス
飛ばす
144
トビドッ
飛び道具
145
トヒナモン
老人
146
トブッロ
戸袋
147
トベラ
どくだみ
148
トボシ
乏しい
149
トボッ
点す(ともす)
150
トホンネ
途方もない
ドマ
ぐらいは(例:2回どま行った)
151
トムレ
弔い
152
ドモ
耄碌(もうろく)
153
ドモイ
吃り(どもり)
154
トモビッ
友引
155
ドモコモナラン
どうにもこうにもならない
156
トヤカッ
とやかく
157
ドヤサルッ
おどかされる
158
ドユ
土用
159
ドユウシ
土用丑の日
160
トユ・コ
鳥を・飼う
161
トユ・オヤス
鳥を・飼う
162
ドユナン
土用波
163
ドヨ
どれを
164
ドラ
発する声
165
トランコ
虎の子
166
ドロ
貨幣
167
トロイトロイ
うろつくさま
168
ドロベッタイ
ぬかるみ
169
トワカ
遠い
170
トン
唐箕(とうみ)
171
トン
飛ぶ
172
ドン
どの?
173
ドン
殿
174
ドン
けれども
175
トンガッ
尖る
176
ドンガラ
だけど
177
トンガラカス
尖らす
178
トンキュ
ヤリイカ
179
ドンケッ
びりっけつ
180
ドンコビッ
181
トントン
同じ
182
ドンナラン
どうにもならない
183
トンジャキャナカ
頓着ならない
184
ドンバラ
太鼓腹
185
トンビンブクロ
爆竹
186
ドンワロ
どの野郎?

4番の「ト」(疑問の最後に用いる)について:よく言われる電車の中で座席をとっているのか尋ねる「トットット」において、最後の「ト」がこれにあたります。そういう意味では鹿児島弁に限りません。九州で通じるかもしれません。

19番の「トイケ」(取りに)のように、「〜ケ」(〜しに)(英語でいうとto doに相当)を使うケースはけっこうあります。

28番の「トイノバン」(大晦日)は「年の晩」からきているような気がします(私見)。

31番の「トイモガラ」(蓮芋)は、うちでは「トイモ」と言っています。「サトイモ」は土の中の芋を食べますが、「トイモ」は里芋の赤っぽい茎ではなく緑色の茎をしていて、その茎を食べるものと子供心に認識していました。

37番の「トカ」(〜のか)はとても重要なので、鹿児島の薩摩、大隅、諸県で生活する人は覚えておきましょう。使い方としては、「イカントカ」(行かないのか?)といった感じです。

41番の「ドガン」(どう)は「ドガンスッケ?」(どうする?)のように使いますが、「ドゲン」とか「イケン」でもいいと思います。私の場合は「イケンスイケ?」とか、「イケンスッケ?」と言っていました。

42番の「トキッ」は「トキビ」のことで、「とうもろこし」です。

48番の「ドケ」(どこに)は、「ドケイタカ?」(どこに行ったか?)のように使います。

49番の「ドゲン」(どう)は、「ドゲンスッカ?」(どうするか?)とか、「ドゲンションナカ」(どうしようもない)とかいった使い方になるかと思います。

57番の「ドコズイ」(どこまで)は、とてもよく使います。「〜ズイ」は「〜まで」という意味です。

59番の「ドシ」(友達)に関して:「ドシ」は「同士/同志」から来ているような気がします。

63番の「ドシコ」(いくら)は、「ドシコデン」(いくらでも)のように使います。

67番の「ドシテン」(どうしても)は、「ドウシテモ」→「ドシテン」

69番の「トシナムン」(年寄り)は「トヒナモン」とも言います。この場合、ヒはhを発音しない感じです。「トイナモン」とも聞こえます。若い人は「ワケモン」と言います。

76番の「トジュ」(母屋)は、私の両親と私たち子供が住んでいる家を「トジュ」と言っていたのに対して、祖父と祖母が住むために隣りに建てた家を「隠居」と言っていました。

78番の「トゼンネカ」(淋しい)は、うちの辺りでは「トゼンナカ」と言っています。徒然草の「徒然」が「トゼン」だといわれています。そうであれば、「ナイ」は「無い」という意味ではないと思いますが、どうでしょう。「トゼンナカ」という形容動詞なのでしょうか。研究の余地がありそうです。

95番の「トッオジイ」(飛び降りる)は「オジィ」が「降りる」という意味があるので、「トッ」(飛び)と合わせて「トッオジイ」(飛び降りる)となります。

107番の「トッケ」(取って来い)は、「トッテケ」でも通じると思います。うちでは後者を使っていました。

108番の「トッケンネ」(途方もない)は熊本弁では「トツケモナイ」というのがあります。「トツケミニャー」とか聞こえますが、正確には聴き取れていません。

111番の「ドッコイ」(同数)に関して:標準語では「ドッコイドッコイ」で「五十歩百歩」みたいな意味です。

112番の「トッコジイ」(飛び降りる)は、子供の頃に「トッコジレ」(飛び降りろ)とか言って飛びきれない者には「ヤッセンボ」と言っていました。

114番の「ドッサイ」(たくさん)はよく使います。

123番の「ドッナ」(ろくな)は必ず否定文になります。「ドッナモンジャナカ」(ろくなもんじゃない)といった感じです。長渕剛の「ろくなもんじゃねえ」を鹿児島弁で言うと「ドッナモンジャナカ」となります。

131番の「ドテ」(だろう)は、「コンドテ」(来ないだろう)みたいに推量で使います。

138番の「トニ」(〜のに)は、「ソゲンセンデモヨカッタトニ」(そんなにしなくて良かったのに)みたいな感じで使います。

140番の「トノジョ」(主人)は、「ジョ」だからといって女性ではないので注意。

152番の「ドモ」(耄碌(もうろく))は、「ドモシチョッ」(もうろくしている)のように使います。

163番の「ドヨ」(どれを)は、「ドレヲ」→「ドイヲ」→「ドヨ」

164番の「ドラ」は発する声のことで、標準語でいえば「どれどれ」みたいな感じでしょうか。

172番の「ドン」(どの?)は、疑問形で「どれの?」という意味です。形容詞的に名詞にかかります。

174番の「ドン」(けれども)は逆接の接続詞です。

181番の「トントン」(同じ)は、鹿児島弁というより標準語なのではないでしょうか。ピコ太郎のYouTube動画の一つに眼鏡を斜めにして「トントン」と言うのがありますが、それっていわゆる「トントン」(同じ)ですよね。

183番の「トンジャキャナカ」(頓着ならない)について:私は子供の頃に、よくじいちゃんから「トンジャクヮナカ」と捨て台詞を言われていた記憶があります。じいちゃん、ごめん(^-^)

以上です。こうして見て来ると、補足説明の多さでもわかるように「と」で始まる鹿児島弁の単語とフレーズはとても重要なものが多数ありました。重要度はベスト3に入るといっても過言ではないほど高いと思います。

それでは、また。

鹿児島弁の五十音表
(クリックするとその文字が先頭の単語一覧表に飛びます)







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