こんにちは。熊の実です。
今回は「と」で始まる鹿児島弁の単語を挙げています。この「と」で始まる鹿児島弁の単語集の記事が「る」と「れ」を除いた44個目であって、これで最後です。「る」と「れ」で始まる鹿児島弁の単語はなぜかありませんでした。
「と」で始まる鹿児島弁の単語は「た」行の中では最も多いです。ちなみに「た」行の中では数の多い順に「と」>「た」>「つ」>「ち」>「て」となりました。
「と」で始まる鹿児島弁の単語には、実はとても重要なものがたくさん含まれています。
解説は表のあとに書いています。
それでは見てみましょう。
4番の「ト」(疑問の最後に用いる)について:よく言われる電車の中で座席をとっているのか尋ねる「トットット」において、最後の「ト」がこれにあたります。そういう意味では鹿児島弁に限りません。九州で通じるかもしれません。
19番の「トイケ」(取りに)のように、「〜ケ」(〜しに)(英語でいうとto doに相当)を使うケースはけっこうあります。
28番の「トイノバン」(大晦日)は「年の晩」からきているような気がします(私見)。
31番の「トイモガラ」(蓮芋)は、うちでは「トイモ」と言っています。「サトイモ」は土の中の芋を食べますが、「トイモ」は里芋の赤っぽい茎ではなく緑色の茎をしていて、その茎を食べるものと子供心に認識していました。
37番の「トカ」(〜のか)はとても重要なので、鹿児島の薩摩、大隅、諸県で生活する人は覚えておきましょう。使い方としては、「イカントカ」(行かないのか?)といった感じです。
41番の「ドガン」(どう)は「ドガンスッケ?」(どうする?)のように使いますが、「ドゲン」とか「イケン」でもいいと思います。私の場合は「イケンスイケ?」とか、「イケンスッケ?」と言っていました。
42番の「トキッ」は「トキビ」のことで、「とうもろこし」です。
48番の「ドケ」(どこに)は、「ドケイタカ?」(どこに行ったか?)のように使います。
49番の「ドゲン」(どう)は、「ドゲンスッカ?」(どうするか?)とか、「ドゲンションナカ」(どうしようもない)とかいった使い方になるかと思います。
57番の「ドコズイ」(どこまで)は、とてもよく使います。「〜ズイ」は「〜まで」という意味です。
59番の「ドシ」(友達)に関して:「ドシ」は「同士/同志」から来ているような気がします。
63番の「ドシコ」(いくら)は、「ドシコデン」(いくらでも)のように使います。
67番の「ドシテン」(どうしても)は、「ドウシテモ」→「ドシテン」
69番の「トシナムン」(年寄り)は「トヒナモン」とも言います。この場合、ヒはhを発音しない感じです。「トイナモン」とも聞こえます。若い人は「ワケモン」と言います。
76番の「トジュ」(母屋)は、私の両親と私たち子供が住んでいる家を「トジュ」と言っていたのに対して、祖父と祖母が住むために隣りに建てた家を「隠居」と言っていました。
78番の「トゼンネカ」(淋しい)は、うちの辺りでは「トゼンナカ」と言っています。徒然草の「徒然」が「トゼン」だといわれています。そうであれば、「ナイ」は「無い」という意味ではないと思いますが、どうでしょう。「トゼンナカ」という形容動詞なのでしょうか。研究の余地がありそうです。
95番の「トッオジイ」(飛び降りる)は「オジィ」が「降りる」という意味があるので、「トッ」(飛び)と合わせて「トッオジイ」(飛び降りる)となります。
107番の「トッケ」(取って来い)は、「トッテケ」でも通じると思います。うちでは後者を使っていました。
108番の「トッケンネ」(途方もない)は熊本弁では「トツケモナイ」というのがあります。「トツケミニャー」とか聞こえますが、正確には聴き取れていません。
111番の「ドッコイ」(同数)に関して:標準語では「ドッコイドッコイ」で「五十歩百歩」みたいな意味です。
112番の「トッコジイ」(飛び降りる)は、子供の頃に「トッコジレ」(飛び降りろ)とか言って飛びきれない者には「ヤッセンボ」と言っていました。
114番の「ドッサイ」(たくさん)はよく使います。
123番の「ドッナ」(ろくな)は必ず否定文になります。「ドッナモンジャナカ」(ろくなもんじゃない)といった感じです。長渕剛の「ろくなもんじゃねえ」を鹿児島弁で言うと「ドッナモンジャナカ」となります。
131番の「ドテ」(だろう)は、「コンドテ」(来ないだろう)みたいに推量で使います。
138番の「トニ」(〜のに)は、「ソゲンセンデモヨカッタトニ」(そんなにしなくて良かったのに)みたいな感じで使います。
140番の「トノジョ」(主人)は、「ジョ」だからといって女性ではないので注意。
152番の「ドモ」(耄碌(もうろく))は、「ドモシチョッ」(もうろくしている)のように使います。
163番の「ドヨ」(どれを)は、「ドレヲ」→「ドイヲ」→「ドヨ」
164番の「ドラ」は発する声のことで、標準語でいえば「どれどれ」みたいな感じでしょうか。
172番の「ドン」(どの?)は、疑問形で「どれの?」という意味です。形容詞的に名詞にかかります。
174番の「ドン」(けれども)は逆接の接続詞です。
181番の「トントン」(同じ)は、鹿児島弁というより標準語なのではないでしょうか。ピコ太郎のYouTube動画の一つに眼鏡を斜めにして「トントン」と言うのがありますが、それっていわゆる「トントン」(同じ)ですよね。
183番の「トンジャキャナカ」(頓着ならない)について:私は子供の頃に、よくじいちゃんから「トンジャクヮナカ」と捨て台詞を言われていた記憶があります。じいちゃん、ごめん(^-^)
以上です。こうして見て来ると、補足説明の多さでもわかるように「と」で始まる鹿児島弁の単語とフレーズはとても重要なものが多数ありました。重要度はベスト3に入るといっても過言ではないほど高いと思います。
それでは、また。
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