西郷どん第7回で出てきた鹿児島弁とうなぎの捕り方の解説

こんにちは。熊の実です。

「西郷どん」の第7回「背中の母」を2018年2月18日(日)の20時から見ました。

今日の「西郷どん」は悲しい回になりました。祖父、父、母を半年間で一気に失った悲しみは計り知れないと思い、そこが最も心に残りました。大村崑さん演じる祖父の龍右衛門が労咳(ろうがい)で亡くなり、風間杜夫さん演じる父の吉兵衛、松坂慶子さんがもう登場しなくなるので、何となくさみしいですね。

鹿児島弁の話題に関しては「わっぜ」とか「なんこ」がありました。ただ、もう第7回ぐらいなるとさすがに第6回までに単語は一通り出てきている感じなので、メジャーな単語はたまにしか出てきませんね。

それにしても松坂慶子さんの最後の背中でのシーンは泣けました。自分の人生で振り返ると24歳、25歳の頃というのは大学院を出て社会人になった頃です。その頃私は祖母を亡くしましたが、それが吉之助の場合は母親だというのは早すぎると思いました。今はあれから20年以上経ち、どちらかというと自分の人生を振り返るような年齢にさしかかっています。あの時こうしていればよかったという後悔ばかりで、今、母親から「これからは好きなように生きなさい」と言われてももう遅いかもしれない年齢です。いろいろな意味で胸が痛いです。

それから、北川景子さんは鹿児島弁の台詞を相当練習されたと見ました。イントネーションはネイティブでない人にしてはほぼ完璧だと思いました。

それではその第7回放送分の中で出てきた鹿児島弁について見ていきましょう。

第7回放送の中で出てきた鹿児島弁の単語やフレーズを時系列でリストアップ

以下は2月18日(日)の第7回放送の中で出てきた鹿児島弁の単語やフレーズです。聴き取れなかった箇所があったとしても、意訳して自分なりの鹿児島弁になっています。

単語やフレーズ 意味
だいかよかひとはおらんとなー だれかいい人(女性)はいないのかー
おはんももう24 あなたももう24歳
きいてくっで 訊いてくるからね
きょうはこれぐらいにしもんそ 今日はこれぐらいにしておこう
まなぶべきじゃっちかいちょっ 学ぶべきだと書いている[ある]
わっぜきにいっちょっ とても気に入っている
おはんな あなたは
ほいじゃきょうはこのぐらいにしもんそ それじゃ今日はこのぐらいにしましょう
いまさっきの 先ほどの
いくさはしたくはなかろち 戦はしたくはないだろうよ
わかっとな? わかるのか?
そらわかっとよ! それは(当然)わかるよ!
ことさんもよめにいけんじゃろ 琴さんも嫁に行けないだろ!
ほんなこてはがいかー 本当に歯痒い!
すまんいまいったことはわすれてくいやんせ すまない。今言ったことは忘れてください
おやっとさー お疲れさま
くっちょらんじゃろ! 食べてないだろう!
さあじゅんびをしもんそかい さあ、準備をしようかい
ちょっとやすめばすぐになおり[なおい]もんで ちょっと休めばすぐに治りますから
いまじゃしたー 今だった(「ただいま」の意)
おにのかくらんじゃっど 鬼の撹乱だよ
だいじょうぶじゃあいもはん。ゆっくいやすんでくいやんせ。 大丈夫じゃない。ゆっくり休んでください。
おねがいがあいもす お願いがあります
よめをもろちけ 嫁をもらってこい(「よめをもろちくれ」だったら「嫁をもらってくれ」)
わかいもした わかりました
ほんじつはあいがとさげもす 本日はありがとうございます
きょうはえんりょなくのんでいってくいやんせ 今日は遠慮なく飲んでいってくださいませ
ははうえさー、このたびはおめでとうございます 母上さま、この度はおめでとうございます。
こいからわがやでなんこをやいもんそ これから我が家で「なんこ」をやろう
あいがとございもした ありがとうございました
すがさん、おはんはこんいえんことをいっこくもはやくおぼえてくいやんせ。もうあまりときもなかかもしれんで。 須賀さん、あなたはこの家のことを一刻も早く覚えてください。もうあまり残された時間もないかもしれないから。
すんもはん。こげなあいそのなかよめですんもはん。 すみません。こんな愛想のない嫁ですみません。
ゆるしてたもんせ 許してください
こげなまずしかおおじょたいにきてくれてあいがたかど こんな貧しい大所帯に来てくれて有り難いことだよ
いえ、まずしさははじではございもはん いいえ、貧しさは恥ではございません。
よかよか、むりにわらわんでよか。 いい、いい。無理に笑わないでもいい。
よかったー、あんしんしたー。そいではおやすみなさい。 良かったー、安心したー。それではおやすみなさい。
あしたもはやか。しっかいやすみもんそ。 明日も早い。しっかり休もう。
おぼえちょってくいやんせ 覚えておいてください
だいじょうぶけー 大丈夫かな?(相手に直接尋ねる時は「大丈夫ですか?」)
うんまかー おいしい!
ひったまがっほどよかおなごじゃったー びっくりするほどいい女だったー
もうよかで もういいから(やめて)!
きちべえ、こどもたちんまえでぬけぬけとようそげんはずかしかはなしができるもんじゃっ 吉兵衛、子供達の前でぬけぬけとよくそんな恥ずかしい話ができるものだ!(「恥ずかしい」は「げんなか」「げんね」「げんない」とも言います)
きょうはおさけものんじょらんとによっぱらっとっとじゃなかろか(テレビでは「きょうはおさけものんじょらんとによっぱらっとっとじゃなかろか」と言っているように聞こえました) 今日はお酒も飲んでいないのに酔っぱらっているのではないか
やかましかー やかましい
きちのすけー、えらばれたどー 吉之助、選ばれたぞー
そいはほんのこっか、やいもしたなー それは本当のことか。やったねー
あたいはよかでおはんたっでたべやん[たべやい] 私はいいからあなた達でたべなさい
あーうつくしかー。いきちょっあいだにどげんしてでんここにきたかったー。おはんがうまれてすぐのころ、おはんだいてちちうえとさんにんでここにきたとよー。あんこきちがこげんりっぱになってくれていっしょにさくらじまをみることができて、もうおもいのこすことはなかー。 あー美しい!生きている間に何とかしてここに来たかったー。あなたが生まれて間もない頃、あなたを抱いて父上と3人でここに来たんだよー。あの小吉がこんなに立派になってくれて一緒に桜島を見ることができて、もう思い残すことはないよ。
さくらじまどん、ははおやのやまいをなおしてたもんせ。さくらじまどーん 桜島さーん、母親の病気を治してください。桜島さーん
ほのおんようじゃなー。 炎のようだねぇ。
おはん、えどづめのおねがいだしちょらんなー。あたいのからだをきづかってあれほどいきたかったえどをあきらめてくれたとじゃねー。 あなた、江戸詰めのお願いを出してないねー。あたしの体を気遣ってあれほど行きたかった江戸を諦めてくれたのだねー
そげなこつはなか そんなことはないよ
きちのすけさーはむかしからうそがへたぁ。おはんはこころがあつすぎてついじょうにまける。おさなかころからはははしんぱいでした。じゃっどんこいからはきちのすけさーのすきなようにいきやんせ。おはんがそばにいてくれてたのしかったー。あたいはさいごうきちのすけのははおやでほんのこてしあわせでした 吉之助さんは昔から嘘が下手ねぇ。あなたは心が熱すぎてつい情に流される。幼い頃から母さんは心配でした。だけど、これからは吉之助さんの好きなように生きなさい。あなたがそばにいてくれて楽しかったよー。あたしは西郷吉之助の母親で本当に幸せでした

以上、ドラマの進行順に出てきた単語やフレーズです。最後の場面では録画を見直しても涙が出てきます。そして、自分はどんな息子なんだろうかと思いました。

第7回で出てきた鹿児島弁について

「よめをもろちけ」は「こけけ」(ここに来い)と同じように考えればわかります。「よめをもろちけ」は「嫁をもらって来い」ですが、「よめをもろちくれ」だったら「嫁をもらってくれ」となります。

「わっぜ」という鹿児島弁は「ものすごく」という意味の副詞です。英語ではveryに相当します。私の記憶では形容詞の「ものすごい」の形では使われていなかったと思います。似たような単語に「ワッザイ」というのがあって、それは「たいへん」という意味です(私は使っていませんでしたが)。想像するに「災い」から来ているのかも(私見)。まあ、そんな感じで記憶することができます。私のところでは「わっざれか」という形容動詞の形で使うこともあります。ドラマの中では「わっぜ気に入っちょっ」(とても気に入っている)として出てきました。

あと、「なんこ」というものが鹿児島にはあります。漢字では「南交」または「箸戦」と書きます。2人で向かい合って焼酎を飲みながら、10cmほどの木の棒数本を使って、お互いの手の中にある本数を当てる遊びです。両者の合計の本数を当てるのもあるようです。詳しいルールはこちら↓

かごしまの遊び ナンコ

数を当てるから「なんこ」になったといわれているようです(少なくとも私はそう思ってこれまで生きてきました)。数がはずれたらおちょこで焼酎を一気に飲みます。だから負けが多いとめちゃくちゃ酔っぱらうことになります。鹿児島のおちょこに底が尖っていて置くことができないようになっている「そらぎゅう」というのもあります。私の家にはありませんでしたが。ちなみに私の父は一滴も飲めない下戸だったので、飲んでいるところを一度も見たことがありませんでした(今ではもう見ることができません)。でも、私がまだ小さい頃、近所の人が家に来ている時、いわゆる「のんかた」(宴会)をしている時に、おじさん達が「なんこ」をやっているのを見たことがあります。

第7回の西田敏行さんの最後のナレーション

第7回の最後の西田敏行さんのナレーションは「半年足らずのうちに爺様、父上、そして最愛の母上を亡くし、吉之助にとって生涯で一番辛く悲しい年になったのです」のあとに「今宵はここらでよかろかい。西郷どんチェスト!きばれ!」でした。

第8回は「不吉な嫁」です。予告編では「いってくっでー」と言っていました。続きは次回に。

それでは、また。

番外編:うなぎの獲り方

これまでの7回のうちで何度かうなぎを捕まえるシーンがありましたが、ちょっとツッコミを入れておくと、うなぎを川で捕まえることは至難の業です。たとえバケツの中にいたとしても手で握って持ち上げて固定するのは無理です。なぜならばヌルヌルしているし、動くからです。うなぎを捌く時は錐(きり)で木製のまな板に頭を固定するまでが本当に大変です。だいたい、うなぎは川のなかでは石の下や穴の中に潜んでいるので、水中眼鏡をかけて探しまわってもいません。しかも夜行性です。

だからといってドラマの中でうなぎを捕まえるシーンに文句があるわけではありません。あれは別にストーリーに関係あるわけでもないですし、吉之助が本当にうなぎ捕りの達人だったかもしれませんしね。

それではリアルなうなぎはどうやって捕まえるのでしょう。私が子供の頃にやっていた3つの方法を紹介します。

まず、最も簡単なのは「うなぎ捕り」を買ってきて使う方法です(私は編んで作ったこともあります)。竹で編んだ細長い筒で、入口が不可逆的になっているので一度入ると出られないようになっている装置です。例えばこんなやつです(アフィリエイトはしていません。ただのリンクです!!)。うちの辺りでは「たかつっぽ」と言っていました。ニュアンスはたぶん「竹筒」といった感じなのでしょう。私は小学校の頃に水泳部だったので川に素潜りするのは得意でしたが、そうでない人は危ないのでまずやらない方がいいですが・・・。これをどうやって使うかというと、この筒に竹やぶなどの土の中にいるミミズを十匹〜二十匹ぐらいつかまえて入れます。そして、奥の方に固定するために私は当時家の敷地内に植えてあったシュロの木の「シュロ皮」を剥いで丸めて筒に詰めました。長い棒で止まるまで押し込みます。そうするとミミズが一番奥に固定されます。これに不可逆になっている蓋をして出来上がりです(なぜミミズを奥の方にいるようにしておくかというと、入口付近だとうなぎが十分に中まで入って来なくても食べることができるからです。そうだと、逃げられるかもしれません)。これを日暮れまでに川に沈めます。うなぎが夜に通りそうな場所を選んで、ミミズがいる側を川上になるようにして石を積んで固定します。そして翌朝に回収にきます。場所は深くて淀んだ所より石がたくさんあって流れのあるところがいいです。深さは腰のあたりまでのところが経験上良かったです。流れのないところはミミズも死んでしまって臭くなっています。流れのあるところはうなぎが入っていなければ翌朝でもミミズはまだ生きています(うなぎが入っていたらミミズは食べられています)。この方法は場所選びの嗅覚がものをいいます。そは経験で培われます。

2つ目の方法は、凧糸のような強い糸にうなぎ専用の長い釣り針を結んで、それに田んぼで蛙を捕まえてきて、その針につけて、日暮れ前に糸を川岸のうなぎがいそうな場所に結びつけていく方法です。そして、翌朝に回収にきます。この方法はうなぎの選択性は低く、カニやエビに食われる場合もあります。早い時間にエサだけ食われて一晩中エサのついていない針だけだったということも多かったです。そんなのにかかるわけがありません。なので、全く収穫のないことも多かったです。でも、スッポンがかかっていることもありましたし、ギギがかかっていることもありました。何がかかっているかわからない期待感がありました。この方法は川の両端しか固定する場所がないし、竹などが生えていない場所では固定することができません。それで、川岸から川岸に糸を引いて固定して、その糸に1メートル間隔ぐらいずつ上記のエサのついた糸を結びつけていく方法もやりました。これだと、川の中央付近にも仕掛けることができます。うなぎは川の中央付近にかかっていることが多かったです。

3つ目の方法は、見つけたうなぎを直接目の前で釣る方法です。簡単に言うと、竹の先のような細い棒の先端に上記で使ったものと同じ釣り針を軽くひっかけて、糸を引っ張った状態にして、うなぎの目の前にそっと釣り針をもっていく方法です。このとき、皮を剝いたエビや川魚やミミズなど、その時にあった生き物をつけて行いました。だいたいその場でエビを捕獲して用いることが多かったです。うなぎを見つけていなくても、うなぎが潜んでいそうな穴の中に入れてやっても釣れることがあります。水中眼鏡をして石の多い浅瀬や井手の下流側の流れのあるところをみてまわっていると、うなぎが頭を出していることがあります。その時に使う方法です。お手製の銛(もり)で直接刺して捕獲する方法もありますが、刺したところの肉が裂けて逃げられることもあるし、銛が抜けて逃げられることもあるし、銛を直接刺すことができない穴の奥のような複雑な場所だったりすると、棒でうなぎの目の前に直接エサを差し出して釣って引っ張り出す方法が最も高い確率で成功しました。

あと、普通の釣りをしていて偶然釣れる場合もありますが、これは狙って釣れるものではなく、たまたまうなぎの潜んでいる場所にエサがいって食いついた偶然の産物です。なので、積極的な方法ではないので、上記の3つが私の狙いに行った方法です。

うなぎをさばく時は、まな板に錐(きり)でうなぎの頭を固定します。この時、うなぎはうつぶせに固定し、包丁を首のところから入れて背中に沿って尻尾の方に切って行きます。つまり、背中を切るので、開いた時に腹はくっついているパターンになります。腹に包丁を入れて広げる方法もあるようですが、私のやっていた方法は背中を切る方法でした。

以上、余談でした。

それでは。

西郷どん放送分に関する記事
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予告編
第1回
第2回
第3回
第4回
第5回
第6回
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第9回
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第13回
第14回

鹿児島弁の五十音表
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