西郷どん第15回で出てきた鹿児島弁の解説

こんにちは。熊の実です。

「西郷どん」の第15回「殿の死」を2018年4月22日(日)の20時からNHK総合で見ました。

今回は「殿」が2人も亡くなる内容でした。第13代将軍家定が最初に亡くなった時に、今回の「殿の死」はこのことかと思ったのですが、最後あたりで斉彬も急に亡くなったので、第15回だけで2人も「殿」が亡くなってしまいました。家定が出てきた回も2回ぐらいしかなく、話が急展開で進んでいます。大河ドラマの「篤姫」の時はだいぶ話を伸ばしてあったのですが、「西郷どん」の中では2回ぐらいで終わってしまったので、それだけ西郷どんの人生は大きな時代の波に飲まれていったということだと思います。波乱万丈だったと言えると思います。

第15回の鹿児島弁の割合は前回ほどではなかったように思います。また、ドラマを見ていく上で重要と思われる鹿児島弁に関しては、すでに過去の14回までに出てきています。それでもまだまだ説明できることはありますので、書いていきたいと思います。

それではさっそくその第15回放送分の中で出てきた鹿児島弁について見ていきましょう。

第15回放送の中で出てきた鹿児島弁の単語やフレーズを時系列でリストアップ

以下は4月22日(日)の第15回放送の中で出てきた鹿児島弁の単語やフレーズです。意訳して自分なりの鹿児島弁になっているところもあるかもしれません。

単語やフレーズ 意味
じゃっどんこんねんちょうちゅうおことばがさすのはきしゅうのよしとみさまではなくあきらかにひとつばしさまでございもす しかし、そうは言っても、この年長というお言葉が指すのは紀州の慶福様ではなく、明らかに一橋様でございます
とのがどれほどおよろこびにならるっか 殿がどれほどお喜びになられることか
いそぎさつまにもどいもす 急いで薩摩に戻ります
そげなこつ、でくっとでごわすか そんなこと、できるのですか
とののゆめがはてしなくてとてもついていけもはん 殿の夢が果てしなくて、とてもついていけません
ただいまもどいもした ただいま帰りました
おいはどこまでもどこまでもとのについてまいりもす。ちいさかころ、ここでおことばをかけていただいたあんときからおいはそげんこころにきめちょいもす 私はどこまでもどこまでも殿についてまいります。小さい頃、ここでお言葉をかけていただいたあの時から、私はそのように心に決めております
またもってくっで また持ってくるから
あにさあ、どげんしやったとな 兄さん、どうなさったのですか
みんな、あにさあがおかえりにないもした みんな、兄さんがお帰りになりました
ながたびでおつかれでごわんそ 長旅でお疲れのことでしょう
いまじゃった 今帰った[ただいま]
あにさあ、ないがあったとでごわすか 兄さん、何があったのでございますか
すまん。とのからおやくをとかれてしもた 申し訳ない。殿様からお役を解かれてしまった
ほんのこてもうしわけなか 本当に申し訳ない
いったいないをしでかしたとか 一体、何をしでかしたのか
やっせんぼ! 弱虫![役立たず!、意気地なし!]
ばんさくつきたち、そげなもんやっせんぼにいいわけじゃっが 万策尽きたと言っても、そんなものは意気地なしの言い訳だ!
たかがひとつやふたつのさくがやぶれたち、おめおめひきさがるきちのすけさーじゃなかどが たかが一つや二つの策が失敗したからといって、おめおめ引き下がる吉之助さんじゃないだろう!
ちいさかころからみんながむりっちゅうこつをきちのすけさーだけはあきらめんかった 小さい頃からみんなが無理ということを吉之助さんだけは諦めなかった
だいもかんがえられんとんでもなかこつをやるおとこじゃった。おなごのきもちがわからんちゅうておなごのかっこうをし、とのにぶれいきわまりないいかりのふみをおくりつけ、はんしゅのざにつかれるようせなかをおした 誰も考えられないとんでもない事をやる男だった。女の気持ちがわからないといって女の格好をし、殿様に無礼極まりない怒りの書簡を送りつけ、藩主の座に就かれるように背中を押した
そいはそんときじゃったでできたこっじゃっ それはその時だったからできたことだ!
んにゃ、いまもできんはずはなか! いいえ、今もできないはずはない!
すべてきちのすけさーだからやれたこっじゃっ すべて吉之助さんだからやれたことだ!
やれるはずのなかこつをやりぬいてきたんじゃなかか やれるはずのないことをやり抜いてきたんじゃないか!
そいがおいのしっちょっさいごうきちのすけちゅうおとこじゃっ それが俺の知っている西郷吉之助という男だ
とのにおめどおりさせてくいやんせ 殿に御目通りさせてください
ないをしちょっとか 何をしているのか
との、へいをあげてたもんせ 殿、兵を挙げてくださいませ
いくさをすっためへいをだすっとではございもはん 戦(いくさ)をするために兵を出すのではございません
われらのけついをしめすとでごわす 我らの決意を示すのでございます
そのとおりでございもす その通りでございます
まさかあのやっせんぼにいわれてはらがきまるとはなー まさかあの弱虫に言われて腹が決まるとはなー
いくさになっかどうかはきょうにいってみらんにゃわからんどが 戦になるかどうかは京に行ってみないとわからないだろう!
しょうすけどん、きょうについたらかならずたよりをすっで、まっちょってくいやい 正助どん、京に着いたら必ず便りを出すから待っていてくれ
おはんら、そんときがきたらたのんど あなたたち、その時が来たら頼むよ
きちょっか (今日も)来ているか
ちゃをたのむ お茶をください
ないごておはんがきょうにおっとな なぜあなたが京にいるのか!
こげなとき、えどでじっとしてらるっか。とんできたとじゃっ こんな時、江戸でじっとしていられるか!飛んできたんだ
きをつけてくいやんせ 気をつけてください
おはんもきをつけてくいやんせ あなた様も気をつけてください
もうすぐきょうにのぼってこらるっどー もうすぐ今日に上ってこられるぞー
との、おまちしちょいもす 殿、お待ちしております
第15回で出てきた鹿児島弁について

鹿児島弁ではないですが、京都の薩摩藩定宿(じょうやど)での会話で「おこしやす」は一見さん、「おいでやす」はお得意さんと宿の主人が言っていたのは個人的には興味深かったです。

「やっせんぼ」について書きます。よく「やっせんぼ」という台詞が出てきます。この今回(第15回)だけでも4回は出てきました。「〜ぼ」は鹿児島弁で「人」を表す接尾語の一つです。

「やっせんぼ」というのは「役せんぼ」→「役しない奴」→「役に立たない」→「役立たず」「弱虫」といった感じです。「意気地なし」とか「だめな奴」といったところです。

もう一つ、「ぎをゆうな!」というのを紹介します。この場合の「ぎ」は感じでは「議」です。ドラマの中では井伊直弼が病床の家定のところに「上様にお伺いしたき議がございます」と言いながらやってきました。この場合の「議」は「相談」といったところですが、鹿児島弁で「議を言うな!」と言ったら「文句を言うな!」という意味です。

第15回の西田敏行さんの最後のナレーション

第15回の最後の西田敏行さんのナレーションは「安政5年7月16日、島津斉彬様はこの世を去られました。あまりに突然な、そして心を残しての御最後でございました」のあと、ナレーションの間に斉彬の「行かねばならん。西郷が待っておる」がはさまっている形で、最後に「今宵はここらでよかろかい。」でした。これまでにないパターンでした。

4月29日第16回は「斉彬の遺言」です。

それでは、また第16回のあとに。

西郷どん放送分に関する記事
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鹿児島弁の五十音表
(クリックするとその文字が先頭の単語一覧表に飛びます)







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